いろどりさんの映画レビュー・感想・評価

いろどり

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暗殺の森(1970年製作の映画)

4.0

子供の頃に大人から性的欲望を向けられるとその後の人生に大きな影響を与える。マルチェロは13歳、自分を肯定できず時代に依存した。この時代の同性愛は罪。カトリックのイタリアならなおさら重い。少年時代の罪と>>続きを読む

東京裁判(1983年製作の映画)

4.0

裁判の記録だけではなく、裁判に至るまでを世界情勢から紐解いていくので膨大な情報量。こんなに記録映像が残っていたとは驚き。

NHKの「東京裁判」で知ったインドのパール判事。事後法での裁きに正義の欠落を
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睡蓮の人(2003年製作の映画)

3.2

美しいタイトルに、ボリス・ヴィアンのような世界を期待していたら、あれ?!そんな世界の住人とは真逆の口の周りが青くて赤鼻のおじいさんが出てきた!まるで妖怪のようなのに、亡き妻に思いを馳せる繊細な心が寂し>>続きを読む

過去のない男(2002年製作の映画)

3.9

これは笑った。面白かった!!
カウリスマキ監督の敗者3部作の第2作。記憶喪失になった男の物語。

今回は登場人物が微笑を浮かべる場面も多かった印象。もちろん顔の筋肉が全体的に数ミリ上がったとか、口角が
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ヴェニスの商人(2004年製作の映画)

3.3

ユダヤ人差別、ユダヤ教、恋愛、復讐、業、正義、法廷劇と盛りだくさんな話。

当時のイギリス人キリスト教徒にとっては喜劇だった原作。今作ではアントーニオではなくシャイロックが主人公。ユダヤ人差別を前面に
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ドンバス(2018年製作の映画)

3.5

14~15年に親ロシア派武装勢力の支配地域で撮影されたアマチュア動画に基づいた映画。モキュメンタリーとドラマを掛け合わせたような作品。

西側製作のプロパガンダの側面が強いように感じるも、ウクライナ系
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クナシリ(2019年製作の映画)

3.5

日本人が行けない日本、国後島でロシア人がどんな暮らしをしているのか興味があった。

ゴミで溢れ、ひどい荒れ果てた地に成り果てていた。インフラ整備が行き届いていなくて、下水を海に流したり、農業もうまくい
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ブラザー・サン シスター・ムーン(1972年製作の映画)

3.0

聖フランチェスコの目覚め前後のお話。
清貧の教え強く、キリスト教の教育的側面と教会批判が同居した芸術性の高い映画。ミュージカル調で美しい讃美歌が挟み込まれる。フランチェスコの一切の汚れなき微笑みの表情
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鬼が来た!(2000年製作の映画)

4.7

見終わったあとしばらく動けなかった。消化不良で胃もたれを起こしそうな感覚。しっかり消化するには時間がかかる重いラスト。

鬼が住むか蛇がすむか、人の心には鬼も仏も潜んでいる。それは日本軍に従属した日本
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第五福竜丸(1959年製作の映画)

3.5

私にとって第五福竜丸は、渋谷駅構内にある岡本太郎作「明日の神話」。とんでもなく大きなこの壁画は、何の知識もなかったころに見たときでも原爆を想像させた。調べてみて初めて、1954年アメリカの水爆実験で第>>続きを読む

昇天峠(1951年製作の映画)

3.6

結婚式当日に、死期せまる母親の遺言状を作るためにバスで峠越えするブラックコメディ。メキシコの陽気なノリで、バスはのらりくらり、なかなか進まない🚐💨

真面目な主人公は誘惑してくるお姉さんに翻弄される。
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ワンダーウォール(1968年製作の映画)

3.2

大学生のころに一度観ていて再鑑賞。
「なまいきシャルロット」と同日、シャルロット・ゲンズブールのお母さんジェーン・バーキンの映画も観ることに。

1960年代は、LSDをキメて楽しむようなカウンターカ
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なまいきシャルロット(1985年製作の映画)

5.0

何回も観てる大好きな映画をスクリーンで堪能!!

私は少女時代のシャルロット・ゲンズブールが大好き。長い首を伸ばして前のめりで、口をすぼめて文句ばかり言っている姿がたまらなく好き。

今作は主題歌も最
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キカ(1993年製作の映画)

3.0

極彩色づかいのアルモドバル監督の初期作品。
ビビッドなインテリアや衣装が目に楽しい。

ずっとしゃべってる明るいキカがとってもチャーミング。

ゴルチエの衣装が一番の見どころ。

今回も安定のアルモド
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マン・オン・ワイヤー(2008年製作の映画)

3.5

ワールドトレードセンターの間にロープを張り、綱渡りをした男性がいたらしい。高所恐怖症とまではいかないけど、高いところから見る景色は怖いので大丈夫かなと思いながら鑑賞。ご本人と協力者のインタビューと当時>>続きを読む

THE NET 網に囚われた男(2016年製作の映画)

3.9

初キム・ギドク。テンポよく分かりやすくて面白かった。さすが韓国映画。

南北分断による悲劇を北朝鮮の小市民の視点で描く。

政治の犠牲になるのはいつもか弱き民。正義なんてどこにもない。

北も南もきっ
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夜の第三部分(1972年製作の映画)

3.7

サスペンスホラー風の芸術カルト。これまた怪作だった。

ゲシュタポに妻子を殺された主人公の行き場のない愛が現在と過去をさ迷う。

ドイツ占領下のポーランドで、チフスのワクチンを完成させるため、シラミに
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悪魔(1972年製作の映画)

3.9

ポーランドを追放されたアンジェイ・ズラウスキー監督の、追放されるきっかけとなった初期作品。

一貫した体制批判を軸に、舞台劇のような仰々しい演出や哲学的なセリフ、日本ならばAGTの親分のようなアート系
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三姉妹 〜雲南の子(2012年製作の映画)

3.6

ベネチア国際映画祭オリゾンティ部門グランプリ。他にもいくつかの映画祭でグランプリを獲っている映画。

プーアル茶で有名な雲南地方は中国で最も貧しい地方らしい。

お母さんが家を出ていってしまい、お父さ
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無言歌(2010年製作の映画)

3.5

ドキュメンタリー作家ワン・ビンの初の劇映画。

毛沢東時代の反右派闘争。
何もないゴビ砂漠に収容所のセットを建て、壮大な自然に取り残された命を描く。

この反右派闘争は、毛沢東が弁論の自由を奨励するも
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まぼろしの市街戦(1967年製作の映画)

4.1

現実と虚構が混濁したカオスな世界。
遊びに遊んだ演出、作り込まれた世界観、意味不明な芸術性の高さ。 
作り手の徹底したカルト愛が感じられるところが、カルトをカルトたらしめている。

極彩色の衣装美術は
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アルジェの戦い(1966年製作の映画)

3.9

とんでもない熱量にただただ圧倒された。

画面に入りきらないほどの人たちの凄まじいパワー。その画力を支えんばかりの音の使い方が効果的。
テロを画策中に流れる不安と高揚を煽るような民族太鼓のサスペンスフ
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島守の塔(2022年製作の映画)

3.7

最後まで沖縄県民に寄り添い、お国のために自決するのではなく、生きろと言い続けた沖縄県知事、島田叡(あきら)氏の戦争映画。沖縄県警察部長、荒井退造氏とともに描かれる。

アメリカ兵は出てこない。9万40
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橋のない川(1992年製作の映画)

3.5

同監督の「絵の中のぼくの村」を観たタイミングで勇気を出して鑑賞。

部落差別という重いテーマを南米の温かい音楽が見事に中和していて、見やすい演出に成功している。ただ、音楽の主張の強さが、シリアスなシー
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絵の中のぼくの村 Village of Dreams(1996年製作の映画)

3.5

ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞。
絵本作家である田島征三の自伝的エッセイ「絵の中のぼくの村」の映画化。

トトロやホウ・シャオシェンの世界が広がっている!
古き良き日本の田舎の風景。
うさぎ追いしかの山
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マイスモールランド(2022年製作の映画)

4.1

手をさしのべたいのに何もできない無力な国民、冷たく見えるコンビニ店長やお客さんこそが、一般的な日本人であり、日本の法律、慣習のなかで生きている姿を良く表していた。だからこそ切ない。

箸を使ってラーメ
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牛久(2021年製作の映画)

5.0

たくさんの人に観てもらいたいための評価です。
私は日本が難民受入国でありながらほとんどの難民に難民認定を下さずに強制送還を促していることに思うところがあり、政府に難民認定の緩和を求める署名をしたことが
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暗殺・リトビネンコ事件(ケース)(2007年製作の映画)

3.7

「私の身に何かあった時はこのビデオを公表し世界に伝えてほしい」

エリツィン元大統領からプーチンへ政権交代した2000年。まだ若々しいプーチンは、"強い大統領"像を誇示するため、自作自演による爆破事件
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プックラポッタと森の時間(2021年製作の映画)

4.2

良い!良い!すごく良い!
こうゆう話、大好き!!

私は今まで「小さいおじさん(妖精)を見た」と力説する人に数人出会ったことがある。
私は目に見えない世界を大事にしているので、そうゆう人と出会いやすい
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標的の島 風かたか(2017年製作の映画)

4.3

玉城デニー氏が沖縄県知事に再選したことで、ますます基地建設反対の民意は強固となった。

今作は、辺野古移設、高江のヘリパッド建設、宮古島、石垣島の自衛隊ミサイル配備に反対する沖縄県民の闘いのドキュメン
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お引越し(1993年製作の映画)

3.7

子供は判ってくれない。

親の離婚事情なんて。わかりたくもない。お父さんとお母さんは一緒にいてほしい。ただそれだけなのになんで。
大人は判ってくれない。

海や火の映し方がきれい。
お祭り、ひぐらし、
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太陽を盗んだ男(1979年製作の映画)

3.5

最近見たブレッソンの「たぶん悪魔が」
が、環境汚染や核戦争の恐怖、体制への不満から個人の終末論に帰結した話で、近そうな雰囲気だったのでタイミングを感じ鑑賞。

沢田研二の色気ってこれのことか!
確かに
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アトミック・カフェ(1982年製作の映画)

3.5

原子爆弾を初めて見た。
鳥肌が立った。

素材のほとんどはアメリカ公報フィルム。原爆を肯定的に捉えたアメリカのプロパガンダ映像をまとめたドキュメンタリー。

「ピカッと来たら?」
「サッと隠れる!」←
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タゴール・ソングス(2019年製作の映画)

3.7

行ける距離での上映会がなくなってしまい観に行かなかったことをずっと後悔していた映画。今回、Peter Barakanʼs Music Film Festival2022にて、ピーター・バラカンさん、監>>続きを読む

ぼけますから、よろしくお願いします。(2018年製作の映画)

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「どんどんバカになっていく」

何度もそう呟くおばあさん。
作中、おばあさんの言葉がどんどん変わっていくのが辛かった。

タイトルはお正月のおばあさんの言葉。

できることがどんどんなくなっていき、自
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マクベス(2015年製作の映画)

3.7

コーエンの「マクベス」(の配信)に待ちくたびれて、先にマリオン・コティヤールのを見ることに。

これは当時の中世の風景と、シェイクスピアの悲劇の世界を見事に映像で表現している。映像の力強さは半端ない。
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