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アイデンティティーのbryantのネタバレレビュー・内容・結末

アイデンティティー(2003年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

多くの評論家より、どんでん返し映画としての評価が高かったため観賞。結果、かなり練られたサスペンスで納得感が大きい素晴らしい作品でした。

90分の短い作品で、前半は金田一少年のような推理ものの印象でしたが、後半に多重人格と真犯人がわかる2回のどんでん返しがあり、推理ものではなくどんでん返しがメインの映画だとわかりました。

正直、中盤で舞台が多重人格者の脳内だとわかった際に、途中までの考察が(脳内なら非現実なトリックも起こりうるため)無駄になった失望感があり、最後真犯人がわかった時も、その非現実な設定を引きずった結果のように思え、どんでん返しの爽快感は弱かったです。

しかし、終わった後に監督・脚本の解説や評論家の考察を見ると、一回の鑑賞では気づけなかった舞台状況の必然性(囚人脱走時のモーテルループの意味、置かれたルームキーナンバーの意味、名前や誕生日統一の意味等)や真犯人の妥当性(そもそもは虐待を受けた少年が他の人格を作り出していたこと、犯人は悪意と孤独感が満ちていること、娼婦への恨み等)が腑に落ち、大変秀逸な映画であったと認識しました。

つまり、一度見だけでは設定の深みを噛み締められない作品なので、全設定を理解したうえでもう一度見るべき映画です。
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