このレビューはネタバレを含みます
この映画は、未だにカルトな人気を誇り、一般映画ファンにはあまり知られていません。恐らくB級グルメ感漂う作風が、そういう結果として表れているのでしょう。
しかし、この映画は昭和三十八年の作品なのです。ゴジラから10年も経っていない頃の製作。それを踏まえれば、かなりの水準に達しているのではないでしょうか。何しろ、特技監督は、あの特撮の神様ですから(笑)。
私はこの作品を見た後、故・吉村達也の「マタンゴ 最後の逆襲」を読んでみました。するとマタンゴと言う作品がより深く味わえたのです。作田裏切りの理由とか、マタンゴと島の秘密とか。
その上で改めて作品を見てみると、水野さんの美しさ、久保さんのカッコよさ、土屋さんのニヒルさも際立ち、なんといっても後にバルタン星人の声に流用されたマタンゴの声(因みに久保さんは、ハヤタ隊員のオファーがあったそうです。意外な共通点)も最高です。
ストーリーは日本のSF作家の元祖とも言うべき存在の福島氏が書いているだけあって、SFの中に程よいバランスで怪奇性を織り込み、飽きさせない作りになっています。冒頭とラストに都会の精神病院を持ってくる事によって、よりマタンゴの島のエピソードが浮き彫りにされる、ニクイ演出。
CG無しでここまで作れる。凄いとしか言いようがありません。若大将の併映作品ながら、若大将より人気がある。その理由は、見たものにしかわかりません。