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カンザス・シティのleylaのレビュー・感想・評価

カンザス・シティ(1996年製作の映画)
4.0
アルトマン監督が故郷のカンザスシティを舞台にした、ジャズ愛にあふれたクライム作品。監督のノスタルジーに触れたようで、楽しくてレビューが長くなってしまった💦

ギャングと選挙と誘拐事件が絡むストーリーがA面とすれば、両A面としてジャズ演奏が繰り広げられる。

カンザスシティといえばチャーリー・パーカーが誕生したジャズのメッカ。今作では1934年当時の「Hey Hey Club」というジャズバーを再現し、21人の人気ミュージシャンが演奏する。サックスのジャム・セッションがカッコいい〜!そこだけでもスコアアップです。ジャズに疎い私でも今作の生演奏には心躍ったのでジャズに詳しい人ならもっと楽しめそう。

この作品のB面なんでは?と思えたのは、10代のチャーリー・パーカーと母。さりげなく登場させているのが心憎い。実際の母の職場と同じ設定にしてストーリーにうまく取り込むという凝りようです。

黒人vs白人の描写もありますが、カンザスシティは南部よりは黒人がのびのびしているように見えました。

エンドロールが渋い!ウッドベースの演奏を聴きながら札束を数えタバコをくゆらすギャングのボス、そして少年のチャーリー・パーカーがサックスを手に眠っている。なんて素敵な光景♡なんて粋なアルトマン。これまたスコアアップ。

ストーリーは…選挙前日、ギャングに捕らえられた夫を救うため、妻(ジェニファー・ジェイソン・リー)がルーズベルト大統領顧問の妻(ミランダ・リチャードソン)を誘拐し、夫を取り戻すまでの2日間を描く。

下品な話し方のジェニファーと何を考えてるかわからない虚無なミランダの演技がうまかった。ジェニファーは『ヘイトフル8』もよかったのが記憶に新しい。

一緒にいてもすれ違うばかりの緊迫感のない2人のやり取り、どこか明るい雰囲気で進みながら、突然のニヒルすぎるラスト!

飾られていた写真がボニー&クライドみたいに見えたのは、時代的にその事件の少し後ぐらいだからかな。アルトマンはその手の作品も撮っていたし、子供時代の印象深い出来事だったのかも。

ギャングのボス、カッコいいけど誰?と思ったら歌手のハリー・ベラフォンテでした。昨年96歳で亡くなったのですね。渋い声で適役でした。あと、思いがけずブシェミも出ててラッキー!

アルトマンの中ではマイナーな作品なのかな、けっこう楽しめた。


📌MEMO

ジャズには疎いので知らないけど、ジョシュア・レッドマン、ジェームズ・カーター、クリスチャン・マクブライドなどそうそうたるミュージシャンによる演奏シーンの模様はドキュメンタリー作品としてリリースされているそうです。
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