千年女優

ルディ/涙のウイニング・ランの千年女優のレビュー・感想・評価

3.5
幼少期からノートルダム大学の名門フットボールチーム「ファイティング・アイリッシュ」に憧れる青年で、170cmに満たない小柄な体格に加えて学力や財力の問題もあって一度は夢を諦めたルディ・ルティガー。父親と同じ工場に勤めて恋人ができても上の空の彼が、周囲の嘲笑をものともせずに夢への道を突き進む様を描いた伝記映画です。

大学フットボールで活動した後に起業家として活動するルディが自身の体験の映画化を目指して売り込んだ企画を、同じインディアナ州を舞台にした高校バスケットボール映画『勝利への旅立ち』を成功させたデヴィッド・アンスポー監督で映画化した作品で、スポーツものらしい観る者をガッツポーズに誘う物語が観客からの好評を得ました。

人類が分業化を発明して以来専門化の進む現代において本作で描かれる主人公の歩みは「早すぎる最適化」であって、それ自体は正解とは言えません。それでも最後のワンシーンのために作品自体が奉仕するように、主人公の努力に仲間たちが惜しみない協力を捧げていて、それは本来目指したゴールより尊い、かけがえのない「副産物」です。
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