ねろこ

ペット・セメタリーのねろこのネタバレレビュー・内容・結末

ペット・セメタリー(1989年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

とてもシンプルな映画。
昔のチープなホラーかと思いきや、重い題材。
歳を重ねるほど刺さるテーマで、つい定期的に観てしまう。

死者を埋めると生き返る不思議な墓地。
が、悪霊と魂が混じってしまうため、
生き返った後は悪魔のように凶悪になってしまう。

医者ゆえに命に対する扱いにあんなに慎重でリアリストだった主人公が、
いざ自分が大切な人を失う立場になると
今度こそはマトモに生き返ってくれるかもしれないという小さな希望にしがみついてしまい、
罪を繰り返す話。

結果、自分の悲しさや寂しさから来る願望により他者の命を弄んだ事になり、
せっかく生き返った最愛の息子からも悲しい言葉を言われてしまう。

命を軽視するようになっていると指摘された頃には、すっかり耳を貸さない状態にまでなっている主人公が切ない。

小さな希望を捨てられなかったり、
わかっているのについ何かを繰り返してしまう事は誰しも身に覚えがあり、
いざ当事者にならなければ自分でさえ自分の行動は読めなくなってしまうという風刺にギクリとしてしまう。

さすがにファンタジー色も強いので
この主人公のようには誰もならないと思うが、
いざ身近な人の死に向き合う時、
ふと頭の片隅に思い浮かびそうな映画。
ねろこ

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