RKO配給のヒッチコック・アーリーワークスの一つ。一種の『パラサイト』と言えなくもない。
基本的にこの手の映画はどっちつかずで宙ぶらりんな中で感じるスリルが醍醐味の映画なので、細かいところに文句を言うのは野暮かもしれない。
主人公がこんな男に惚れるのだって、「お堅い女は危険な男に惚れやすい」っていうある種神話じみたものとして片付けるしかない。
また前置き、ミスリード、布石といったものが、ハリウッド映画にありがちなかなり大袈裟でわざとらしいものになっていたのが残念。
ラストももう少し手応えのあるものの方が良かったと思う。ヒッチコックの手腕を知るにはいいが、いささか衝撃と冷徹さに欠ける。
『めまい』や『サイコ』の偉大さを実感した。