KANIO

ソウのKANIOのレビュー・感想・評価

ソウ(2004年製作の映画)
5.0
本作を観たこと無い人が『SAW』と聞くと「グロい映画」といった印象を抱く人が殆どかもしれないが、実はそこに期待して観てしまうと肩透かしを食らう。
というのも、確かに表現や身体損傷などのグロいシーンはあるが、実は画面にハッキリとそういったシーンが映し出されることは少ない。
スプラッター映画という区分に分類されがちだが、本作の”怖さ”のキモはそういったゴア表現よりも、むしろ綿密に作り込まれたストーリーのサスペンス要素にある。

『マッドマックス』『死者の復讐/狂気の生体実験』『怪人ドクターファイブス』から影響を受けたであろう設定や演出が多く見受けらる本シリーズ最大のオリジナルヴィラン「ジグソウ」のキャラクター的魅力も抜群に印象強い。
「トーチャーポルノ」というジャンルを確立し、後に同ジャンル界の巨匠となったイーライ・ロスにも多大な影響を与えた偉大なる作品。
「1つの小部屋に監禁された2人の男が、謎の猟奇殺人鬼ジグソウの拷問ゲームに翻弄されていく話」というミクロな設定からも分かる通り、予算120万ドルと制作期間わずか18日で作られた低予算映画である。
撮影期間を切り詰めるための演出として回想シーンが多用されているが、区切り区切りで様々な視点から撮られるその演出が上手く効果的に成されており、今や同ジャンル映画においてはおきまりのような作風として広く定着されるようになった。
冴えた脚本を知恵と工夫を凝らして上手く撮影した、マイクロバジェット映画成功のお手本のような作品。
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