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ミーン・ストリートのペインのレビュー・感想・評価

ミーン・ストリート(1973年製作の映画)
3.5
マーティン・スコセッシ初期作
『ミーン・ストリート』(73)

最近観てかなりハマった『アフター・アワーズ』(85)や『救命士』(99)といった、ある種ブニュエル的ですらあるような“スコセッシらしからぬ”怪作群とつい比べてしまった部分もあり、久々に観返した初期の本作は、今観るとだいぶ粗削りで見辛さと青臭さの方が印象としては勝った(※勿論そこが良いとも言えるのですが⬅️)。

スコセッシ本人による音声解説も見たが、
彼はこのように本作を語っている⬇️

「とてもシンプルに出来上がった作品。ある意味でこの作品を撮った理由を説明するのは難しい。何故ならこの作品を作っていた頃の私は、ここに描かれているような生活(※ニューヨーク市マンハッタン区ロウワー・マンハッタンのリトル・イタリー)に身を置いていたから。私にとってこの作品は当時の自分自身の集大成だと言っていい。だから私にとってこれは“映画”ではなく、私がどんな人間でどう暮らしているかの“宣言”と“記録”。本作に描かれている思いや葛藤が当時、私の人生の大半を占めており、それらを表現するには映画を作るしかなかった。まさにここで語られていることは当時伝えたかったことのすべて。ただ、伝えたいという言葉は正確じゃない。この作品にメッセージは存在しないからだ。むしろ私の中から自然に“生み出されたもの”であり、それを表現する手段が、カメラ、セリフ、役者、色や音楽しかなかったというだけ。だから私にとっては本作は“映画”ではない。昔の自分や友達、故郷についての一瞬の“声明”であり“表現”。“私の人生そのもの”。」と。

流石は“最も個人的なことは、最もクリエイティブなこと”というかの有名な言葉を遺した帳本人らしい、ある種『グッドフェローズ』以上に“極私的”な1作とは言える。

作品は祭り(※聖ジェンナーロ祭)の2~3日間を描いているが、現実には6~7年間の出来事に相当するとのこと。

4.23
ペイン

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