りりぃ

ミーン・ストリートのりりぃのネタバレレビュー・内容・結末

ミーン・ストリート(1973年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

 再鑑賞・記録
 「教会で罪は贖えない。我々は街や家庭で罪を贖う。それ以外はまやかしだ」
そんなTHE スコセッシ作品なモノローグからはじまり、The Ronettesの『Be My Baby』と共に幕を開ける最高におしゃれなオープニングだけでめっちゃアガる!

 本作『ミーン・ストリート』はリトル・イタリー、ひいてはミーン・ストリートで生きる若者チャーリーが“罪”を贖おうとする物語だ。
しかし、自らの手指を火で指を炙ったり、救いようがないクズで破天荒な親友ジョニー・ボーイを救おうとしたり……その贖罪の方法は歪なキリスト気取りに見える。
そもそも黒人女性と踊ることを罪カウントしたり、親友を“刑罰”呼ばわりすること自体、主人公チャーリーの独り善がり感が滲み出ていてキツいんだけど……。
とはいえ、神とストリートの間で引き裂かれた若者の独善的な思想や、理想と現実の差に引き裂かれる無力感、あるいは根拠のない無敵感だったり……そういった自己矛盾に苦しむ若者の姿は普遍的で、きっと誰しもが経験したことがある感情だと思う。
(そしてそういう感情に寄り添うように、映画館に逃避するシーンが挿し込まれるのもスコセッシ監督の経験を感じて愛おしい)
キリストを気取りたかったいい奴、チャーリー。彼の自己実現に破れた結末も、そんな青い時期の終わりを感じる不思議な爽やかさがあった。
りりぃ

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