SHAN

P2のSHANのレビュー・感想・評価

P2(2007年製作の映画)
3.4
毎日のように凶悪犯罪が頻発する現代社会。特に大都会で発生する犯罪は、日々進歩・更新されていくテクノロジーのダークサイドを反映し、より陰湿、凶悪な様相を呈している。そして犯罪者の心の闇もまた、複雑さと不条理さを増している。

「P2」は大都会の死角-深夜の地下駐車場=P2を舞台に、若い女性の誘拐、監禁という生々しい恐怖を描く、戦慄のリアルサスペンスだ。

高層ビルのオフィスでたった1人残業をしていたアンジェラは、ようやく仕事を片付け、車で家族が待つディナーに向かうため、地下駐車場に降り立つ。しかしなぜか車のエンジンがかからない。その時何者かが彼女に近づき、背後から麻酔薬を嗅がせた…。意識を取り戻した彼女は、手錠、足枷をはめられ、警備員室の中で監禁されていることを知った…。携帯電話も圏外、誰にも叫び声が届かない深夜の密室で、恐怖のドラマが今、幕を開ける。

「ハイテンション」 「ヒルズ・ハブ・アイズ」の2本が熱狂的な支持を集め、一躍有名になったフランスの新世代ホラーの旗手、アレクサンドル・アジャがプロデュース/脚本を手掛けた本作。パリの地下駐車場での実際の出来事にヒントを得て執筆に至った。

主人公のアンジェラには、TVシリーズ「エイリアス」で注目を浴びたフレッシュな新人、レイチェル ニコルズ。手錠をはめられ、猛犬に追われ、更に大量の血を浴びるという大変なストレスが伴う役柄を体当たりで演じ、その熱演が迫真の緊張感を映画にもたらしている。圧倒的なスタイルの美しさも際立つ、ニュースターの誕生ともいえよう。

「P2」は、日本においては若い女性に対するインモラルなテーマと直接的な表現でR-18指定を受けている。
この映画には決してフィクションでは済まされないほど、物語の現実感があり、いつあなたの身に起きてもおかしくない現代の恐怖を秒刻みに教えてくれる。
また実際に直面したときのケース・スタディの役割を果たす作品になっているともいえよう。
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