おざ

アーティストのおざのレビュー・感想・評価

アーティスト(2011年製作の映画)
3.9
また美しい作品を観てしまった。

平成生まれのぼくがいきなり
こんなサイレント映画を見て
スッと入ってくるのかな?
もしかして難しいかな?なんて
開始5分戸惑っていたのに
気づいたら映像に引き寄せられていた
トーキー育ちの我々現代人が無声映画に
慣れた途端ブワッとその良さが
視覚に拡がっていったのだ。

新しいのに新しくない。なんだこの感覚。
そう、まったく新しくないんだ、
だって約1世紀前のサイレント映画を
モチーフにしてるんだから。
なのに新鮮。異文化交流だこれは。

役者の表情や音楽が語る緊張感。
声がない時代だからこそ、
きっと、もっと映画が作品として
美しかった時代。
音楽の持つ効用を最大限に引き出せたのは映画だったのかもしれない。

ある種セリフの代わりになっていた
音楽が、終盤になって止み
いっさい無音のまま抱き合うシーン。
この音楽の変幻自在の緩急!!
それが良い!
無いのに、いや無いから良い!なんてシーンがこの世に存在したなんて!
なぜ音もなく心に訴えかけることが
できるのか。すごいぞ映画って。音楽って。

いやはや表現の奥深さたるや。


ほんと美しい作品だった。
形容し難い、
自分のボキャブラリーの無さを
痛感してしまうけど、
この作品は、アートだ。

アーティストだ。
おざ

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