ぺっこり180度

アーティストのぺっこり180度のレビュー・感想・評価

アーティスト(2011年製作の映画)
3.9
物語は1927年のハリウッドからスタート。サイレント映画がトーキーに移り変わる中、サイレント映画の大スター、ジョージ・ヴァレンティンの栄華や凋落を、同時期に現れた気鋭の新人女優ペピー・ミラーと絡めて描く。

ストーリーは極めてシンプル。あまりにも定型的でともすれば物足りないという感想も出かねないほど。
けれどこの映画のキモはストーリーのみにあるのではない。
なにしろこれは2011年に作っているサイレント映画なのだから。
サイレント映画が当たり前の時代の人とは違い、21世紀以降を生きる私たちにとっては音と色のついた映画が当たり前。製作者はそんな我々に当時と同じサイレント映画をただ懐古趣味的に見せたいわけではもちろんないだろう。
かといって、現代的表現の方が有効であろうストーリーをサイレントでやる意味もない。
この作品が、このストーリーであるのはサイレント慣れしていない人でも見やすくしつつ、サイレントの良さを際立たせ、映画愛を存分に前面に押し出す為であると私は見た。

要するに作品本体は意欲的実験的かつマニア心満載の作品。

だからこそ見る人によって持つ感想はかなり食い違いそうな気がする。

しかしすべての人がおそらく口を揃えて言うのではないかと思う点がひとつある。
それは
「犬、最高」