途中までは犯人捜しもので、中盤で犯人が明かされる展開はヒッチコックの「めまい」のようだが、ロバート・ライアンをはじめロバート・ミッチャムまで、登場人物たちがみな「地に足がついてない」というか、現実感が薄い。例えばグロリア・グレアム演じる酌婦(?)のヒモだか情夫は明らかに変で、「どうしてこんなキャラでなければならないのか?」と首をひねらざるを得ないほどで。そういう意味で言えば、スコセッシの「アフター・アワーズ」的な一晩のシュールな出来事と思えば納得がいくという不思議な作品。とはいえ人種偏見による暴力が殺人に至るという話は半世紀前の作品なのに今の米国と被り過ぎで、観ておいた方がいい作品ではある。