【調教✏️】
鬼才サミュエル・フラーによる映像の断片だけがぶっきら棒に展開されていくだけの、ある意味反・構築的な戦争映画。🪖
軍曹リー・マーヴィンと仲間たちが世界各国で戦うことを通して「生きることの過酷さ」を監督本人から調教させられる趣きになっている。画面の随所から詩的リアリズムを感じさせる。
本作は絶えず人が場所を行き来し、日常が永続していくだけのイメージしか残されておらず、エンタメ性は頗る低いのだが何か得体の知れない「凄さ」が画面の隅々に宿っている。どこを切っても幾何学的な面白さがある。
このリコンストラクション・バージョンでは、やはり断片的に兵士たちの日常風景が延々と挿入されており何らかの違和感を感じさせる。
壮絶な戦闘シーン(『アラビアのロレンス』や『捜索者』を想起させる)と相俟って生き残ることだけに必死な兵士の内省が淡々と語られる、戦争映画の衣を借りたビルドゥングス・ロマンの金字塔的作品。