みおこし

イースター・パレードのみおこしのレビュー・感想・評価

イースター・パレード(1948年製作の映画)
3.9
これぞMGMの黄金時代と言わんばかりの傑作ミュージカル!アステアとジュディ・ガーランドの共演だなんてもう豪華極まりない。脇を固めるのがまだデビュー仕立てのピーター・ローフォードとアン・ミラー。
ほんとはアステアじゃなくてジーン・ケリー主演、アンではなくシド・チャリシーが出るはずだったけど2人ともケガで出られなくなって、半ば引退状態だったアステアに白羽の矢が、そしてアンはオーディションでこの役を勝ち取ったんだとか。この逸話からして豪華。

ダンサーのドンは、ペアの相方に半ば裏切られる形で、新たな相方を探していた。酒場でショーガールをしているハンナを見初め、2人は晴れてコンビとなるが...。

監督はまだ当時新米だったとのこと、元々は巨匠ヴィンセント・ミネリが起用されていたけど、ジュディと結婚していたこと?が理由で彼から引き継いだ大役。プレッシャーだったろうなあ。
結果、脚本も素晴らしいし音楽も衣装も全てが超一級の傑作が誕生。本当に素晴らしかった!
復活祭がテーマだけあって、いわゆるディズニーランドでイースターのパレードをやる時期のような、淡い色合いのパステルカラーで彩られた衣装やセットに心が奪われました。まあ、そんなにお話しの中にイースター出てこないんですけどね!(笑)
音楽もセリフも、一言で表すならば「粋」。雨の中、傘を貸してあげたことにより出会ったハンナとジョナサンが歌う'A Fella With an Umbrella'、ペアを組んだドンとハンナが浮浪者の格好で「リッチな生活をしないのには理由がある」と全力で大見得を切る'A Couple of Swell'など、アイデアに富んだ曲目が最高!本当にこんな発想、今の時代には浮かばないよ〜。

メイキングも観たんですが、すごく撮影が楽しかったんだろうなとこちらまで笑顔になるエピソードが多々。
ドンを冒頭で裏切る、アン演じるナディーンに対して、ドンの当たりが強いことをアステアが嫌がって、脚本家に内容の変更を要請したんだとか。その理由は彼が女性に対して怒鳴るのが紳士として嫌だったからだで、それも脚本家に対して冷静に「頼むよ」ってお願いしたそう。
冒頭で共演した男の子には、撮影の合間にタップを教えたり、後でカード付きの贈り物をあげたり...なんて羨ましい!!
別作品ではありますが、『雨に唄えば』の撮影が厳しくてジーン・ケリーに叱られて泣いていたとある新人女優を見つけ、優しくお話を聞いたこともあるらしく、その女優とは故デビー・レイノルズだったんだとか。
...アステアは作品の中と同じように、人柄も素敵だったんですね〜!

クラシックミュージカル好きは必見、絶対楽しめること請け合いです。
みおこし

みおこし