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ヨーク軍曹のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

ヨーク軍曹(1941年製作の映画)
4.0
【射撃の達人】
「死ぬまでに観たい映画1001本」に掲載されているハワード・ホークスの『ヨーク軍曹』は、「死ぬまでに観たい映画1001本」マラソンランナーからもホークス映画ファンからも良い評判を聞かないので後回しにしていたのですが、実際に観てみると、これが面白かった。

牧師が教会で演説をしている。そこへ老人がよろよろと入ってくる。遅刻を気にしてか、邪魔にならないようゆっくり歩くのだが、床からギィと音が鳴り、演説の邪魔をしてしまう。何とか老人が着席すると、今度は外から何だか騒がしい音が鳴る。荒くれものたちが銃をぶっ放して暴れているのだ。牧師は必死に演説を続けようとするのだが、人々は外が気になってしょうがない。ついには牧師は諦めて「今日はやめよう。戸を叩く悪魔のことが気になるのなら外へおいきなさい」と諦める。

外にいる悪魔の一人こそがヨーク、本作の主人公であり、彼が改心し英雄になるまでの轍が描かれている。この教会のシーンが中盤で反復され、雷響き渡る教会の中で、その音をものとはせずにヨークを囲んで儀式をする場面に映画の神様が降りてきたのではと思うほどに感動した。

本作は、物語こそプロパガンダ色ありイマイチに感じる意見も分かるが、アクションや画作りの切れ味は抜群である。馬が通りかかるそばに雷が落ち、木が真っ二つに割れる場面はもちろん、射撃シーンは特に観応えがある。例えば、遠くにいる鳥を撃つ場面。鳥が木から少し出ている。ヨークが口笛を鳴らすと、鳥がニョキっと飛び出て、そこへバンッと撃ち込む。このジリジリとした駆け引きは観ていて楽しい。また遠くの円形的を撃つ訓練シーンでは、的が上下に動く連動が新鮮で、彼が中心を打ち込む、的が上下に動いてど真ん中にパックリ穴が空いている動作に興奮した。

割と、ハワード・ホークス映画の中ではトップクラスに好きな作品かもしれない。
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