まめもやし

アメリカン・ヒストリーXのまめもやしのレビュー・感想・評価

アメリカン・ヒストリーX(1998年製作の映画)
4.5
よかったと一言で締めくくるには深すぎる。人種差別(ここでは白人と黒人における)がテーマで日本人にとっては理解しがたい部分もあるが他人ごとではないはずだ。

感じたのは教育者がどんなに影響を与えるかということ。それは両親であったり兄弟であったりさまざまだが、まっさらな心に偏った考えを植え付けてしまうということも起こり得るということ。だから昨今の問題もあるが親や教師というものは子供や教え子の将来を決定しかねないということを自覚してほしい。

それにしてもエドワード・ノートンには驚愕した。まるで別人のように心の変化を表現している。モノクロの映像はノートンの憤怒の恐ろしさをよりリアルに感じ取れ、モノクロによりテーマを引き立てているのは上手い表現だった。また映画での細やかな演出の凝り方も秀逸だった(下ネタで笑ってしまうところや刑期の違いなど)。怒りも立派な人間の感情の一つではあるがそれとどう付き合うのかが人間が分かり合うための鍵なんじゃないかと思う。なによりアメリカがこういう映画を作ってくれたということが一番感動した。重めのテーマだが観ておくべき作品であることは間違いない。

「我々は敵ではなく友人である。敵になるな。激情におぼれて愛情の絆を断ち切るな。中善き時代の記憶をたぐりよせれば、よき友になれる日は再び巡ってくる。」
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