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月の砂漠のeigajikouのレビュー・感想・評価

月の砂漠(2001年製作の映画)
4.1
PFF2022
青山真治監督特集
35ミリフィルム上映

とよた真帆さんのトーク付き

今見てもこれが2001年の映画だったと驚く。

とよた真帆さんが仙頭さん(武則プロデューサー)は10年早いと言われた。私は5年早いと言っていた。
仙頭さんが8月に横浜シネマリン『EUREKA/ユリイカ』のトークで「彼が以前から予見した悪い状況になった今の日本を見ずに済んだのはせめてもの救いだったと思う。」と言われてた。
今回のとよたさんのお話と8月の仙頭さんのお話が繋がって、青山監督が新作撮る気満々で準備していたこと、その作品以外にも沢山の企画やシナリオの準備ができていたけど、撮れない状況が続いていて、交流のあった大寺眞輔さんがオンライン映画塾で青山監督はもっと自分の作家性を出せる映画を撮りたかったはずというお話もあったし、日本映画の現状について青山監督が心配していたことありませんか?という司会の荒木さんから質問された時、とよたさんの目が今まで色々な思い出やエピソードをお話されて来た時と違って潤んで見えた(最前列にいたから)青山監督ととよたさんの無念を思うと胸が詰まった。

とよたさん演じるアキラの実家はセットとして建てた家だったけど2階もしっかり使えたそう。
あの場所ってまさかあそこ?と思ったら当たっていた(私は2014年まで20年程静岡県民してた)たむらさんのカメラが場所の空気感まで映していた。
PFFらしくとよたさんのお話をたっぷり聞けてよかった。
吉田喜重監督と岡田茉莉子さんみたいにずっと素敵なカップルでいてほしかった。青山監督のお話は何度も聞く機会があったけど、とよたさんのお話を聞くのは初めてだった。
私は青山監督と同世代で癌も脳梗塞も経験したけどなんとかまだ生きてるのは何も持ってない凡人だからと思う。
たくさん持ってた青山監督は早すぎる。去年の東京国際映画祭の時にはお元気そうだったのに…今頃夏八木勲さんやショーケンと会ってみえるのかな。この日上映の『名前のない森』の原田芳雄さんにも。


「ITベンチャー経営者として時代の寵児となった永井だが、妻子に逃げられ、会社も倒産の危機に直面していた。孤独、焦燥、寂しさ、倦怠、哀しみ。時代を先取りする埋めようのない喪失感を抱えた男の物語。2001年カンヌ映画祭コンペティション出品」(PFF2022サイトより)
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