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侠勇の花道 ドスのotomisanのレビュー・感想・評価

侠勇の花道 ドス(1966年製作の映画)
3.8
 長門勇がいると加藤剛と平幹のくっ付きがいいというか。色男も引き立つし、悪党たちのギラ付きも悪悪しくなるし、長門が付く農民たちの実直さだけ、力もなければカネはもっとない心許なさが倍増しになる。
 ところが今回は加藤も平もなしでいつになく向かい風がきついし、時代は資本主義躍進な石油掘りの時代、切り捨て御免ではもう済まない。そんな縁の下から覗いた娑婆はドス一本で片ぁ付けねえと埒が明かない。こいつがやくざの泣きどころだ。
 剛毅な油田開発を山ほど見てきた映画好きならこの新潟の零細企業に涙が出るだろう。そして、こんな現場で知見を積んでジャワの油田でさらに腕を磨きながら従事者の大半、二千人を戦闘で失い、それでも新潟以来の生き残りたちが1960年ペルシャ湾で綱渡りのように石油を掘り当てれば号泣だろう。
 そんな30年前の長門のドスの露払いである。生贄の悪党は死亡順に菅原文太、小松方正、安部徹、番外に田村正和、敵役のダイヤモンドである。
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