otomisanさんの映画レビュー・感想・評価

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夜の狼(1958年製作の映画)

3.4

 某幹部「良二、てめえいずみ相手に随分といいカッコ付けてたじゃねえか。存念を聞かせてもらおうか?」
 良二「あなたで三人目ですよ。あっしはよく熟れた万理でよかったんですがね、正直なところいずみちゃんじ
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小さな赤いビー玉(1975年製作の映画)

4.1

 ドイツ進駐下のユダヤ人も各人各様、先日の「老人と子ども」が覆面ユダヤ人家族の倅クロード君の主観的雲隠れ生活、ドイツ色ゼロなら、こちら「ビー玉」は逃げも隠れもできない表通りの散髪屋、ドイツ一色の中どう>>続きを読む

老人と子供(1967年製作の映画)

4.2

 「老人と子ども」と名乗っているがフタを開ければ先の大戦下の「フランスとユダヤ」、緊張に満ちたこの設えが子どものいたずらの現行犯逮捕によって、始まり早々収容所送りの危機かと思いきや、あの緊張の空振り具>>続きを読む

かもめの城(1965年製作の映画)

4.1

 こころの成長が滞っているきらいのあるアニエス、しかし、それもこころの一面の事で女のそれは脈々と育って人里離れたこの海辺でひそかに出会いを待っている。

 そんなアニエスの元にやって来た怪我人が殺人未
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タンデム(1987年製作の映画)

4.1

 一概なことは言えないが、ダサいフォードなんかに乗ってるから真っ赤な犬に襲われたりするんだろう。現にアルファで走ってみろ悪魔の走狗なんぞ挽肉にしてお終いだ。しかし、それがシトロエンでない辺りどんなフラ>>続きを読む

台湾萬歳(2017年製作の映画)

4.0

 中華も台北も遠い、スクーターなら。そんな山と海の合わせ目に平地が伸びてるだけというのがなんとも。
 国民党政府時代の事は憚りがあるだろうし、日本統治時代ならどんな悪行を聞かされても仕方ないし、清朝以
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ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

4.0

 エリーが体を張ってサンディに引導渡して無事成仏。浮かばれない親父霊たちはまたサンディにしばき倒される日々となるのか?身につまされるわい。
 ともあれ、あれで霊界コネクションまで鷲掴みな感じは天上天下
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太夫(こったい)さんより 女体は哀しく(1957年製作の映画)

4.0

 島原と云やあ御公家も通えば幕末の志士もしけこんでた。てなわけで京の遊郭の大名所、さぞ華やかな名残をとどめて、なんて思ったら目に付くのは巨大ガスタンク、聞こえてくるのは梅小路と丹波口の汽笛の大音声。ヌ>>続きを読む

シアター・プノンペン(2014年製作の映画)

4.0

 この映画が今ひとつピンとこないのがなぜなのか?
 つまるところ、この映画の4年後、BBCニュース日本版「クメール・ルージュ指導者に有罪判決、集団虐殺の罪では初 カンボジア」(2018/11/16付け
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ジェルミナル(1993年製作の映画)

4.1

 原作は超大作、半世紀経ってもまだ読み終わらない。そのうえ読まれようという気もない如く本がどこかに旅立ってしまった。
 そんな状況を察しているのか三度も映画化され、こちらは最近の版、全長2時間半とあっ
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東京の宿(1935年製作の映画)

4.4

 チャップリンの「犬の生活」が渡日したのが1919年。貧乏と辛い浮世のどん底でも犬のスクラップスは名無しのチャップリンの友達だか相棒で、福の神とて紛れもない。名無しのルンペン氏だが犬には立派に名前を献>>続きを読む

アルゴ(2012年製作の映画)

4.0

 アメリカらしい映画と思う。デモ隊の乱入を受けた大使館から抜け出した職員6名の出国のために、大して明るい見通しも得られない中、最善を尽くす一人一人の人々の手探り模様が描かれる。

 最初に6人を匿った
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恋するベーカリー(2009年製作の映画)

3.8

 なにがあろうとメリルならという安心感、というか。元亭主と縒りを戻しての不倫返しというのもその、道ならぬ、には違いないものの笑って許してと微笑み返しされてるようでというか。

 そんなおイタも不倫の元
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ファンファーレ(2021年製作の映画)

4.0

 とある宇宙の共和国フランス?一年は364日。一日早く齢をとるのは悲しい?
 というのは余談で、365日なこちらの宇宙と違って、どんな水晶玉が発明されて誰かのヤバい感情の昂進を見つけられるのだろう?
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12日の殺人(2022年製作の映画)

3.9

 猟奇的殺人。犯人像を解明するために洗われる被害者の素行。それが凶行をめぐる犯人の真意への関心以上に被害者の殺されて当然であるかのような印象を呼び起こす。
 今どきだからSNSなんかで我も我もと被害者
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ぼくの小さな恋人たち(1974年製作の映画)

4.2

 ものごころがついてもそれを表す術、ものごころの水準に相応な能力が整わないとなかなか世間とうまく渡り合えない。この渡り合うというのもこっちから出向くばかりではない。相手もやって来てくれないようでは相見>>続きを読む

クラスメイト(2016年製作の映画)

3.7

 俺の名はジミー・ショウ、職業は俳優。さっぱり売れてない。売れてなくても俳優の看板は降ろさない。だから、今日の食い扶持も主演はジョンで演目「クラスメート」で稼いでやる。

 プロローグは乗合バス最前列
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The Son/息子(2022年製作の映画)

4.0

 アメリカン・ドリームというのか?主人公ピーターとしては、この物語を現代アメリカの男たち、もちろん勝者たる自分と父、そして息子の三代にわたる苦節を刻んだ末の勇躍栄進で飾るものとしたかったはずだ。そんな>>続きを読む

運動靴と赤い金魚(1997年製作の映画)

4.1

 昨日今日お買い物デビューしたわけじゃあるまいに、いきなり靴をなくすわ八百屋に出禁を食らうわ、気の利かない風なアリでの始まりだったんだが、俄か庭師となる親父さんの営業支援でしっかり運を呼び込むじゃない>>続きを読む

俺は情婦(おんな)を殺す(1958年製作の映画)

4.0

 世の中ぁ変わっていくんだから人のこころも変わるのさ。だから、時にはこういう馬鹿がいなきゃ世間の目は覚めねえのさ。
 たかが3年の務めで娑婆に舞い戻りゃあ、親分、アンタまで筋目の通し方も忘れちまったの
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草迷宮(1979年製作の映画)

4.1

 我が家は共稼ぎだったもので、祖母、母、叔母、時には姉にまで世話を焼かれてしまって、草迷宮の伝によれば一度に四回妊娠されてしまった塩梅だろうか。それが、も一度妊娠となると計八回となる。いや、もうたくさ>>続きを読む

アラビアンナイト 三千年の願い(2022年製作の映画)

4.1

 あくまでも「物語」を論じる事をたつきの道として、また生きる愉しみともしてきたわけで、お話出て来いなんて頼んだ覚えはないはずだが、物語の一介のプレイヤー「ジン」が湧いて出てしまって喋ること喋ること、ア>>続きを読む

渇水(2023年製作の映画)

4.1

 親にはぐれた岩切は水の匂いのする水道局員なのに渇いてる。親にはぐれたくらいだから我が子ともはぐれ出して今や家族と生き別れ。
 こんな岩切が水道局員だもんで、これまた親にはぐれつつある門脇姉妹と知り合
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女子高生に殺されたい(2022年製作の映画)

4.0

 だいぶ昔の話だが国粋主義者で名高い大川周明が戦犯として裁かれる間、法廷で奇行の数々を晒して発狂を装って刑を免れる企みかと疑われたりしたが結局、絞首刑となった。
 この大川の奇行が、収監先の房内で度々
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こんにちは、母さん(2023年製作の映画)

1.0

 おもしろければ云う事なしの映画があれば、言葉を費やす気にもならない映画もある。これは後者の部類だが、それでも、相変わらず吉永が柵となって当方、流れもあえぬ次第である。

 此度は足袋屋の婆あ役なわけ
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淑女は何を忘れたか(1937年製作の映画)

4.1

 教授がしきりに顕微鏡を覗いていると、千駄木の中西氏から催促の電話が入る。これがどうやら、氏が精子の元気の具合を問うもので、教授は顕微鏡目視検査の上で「ダメだ」と、「君に子は出来んよ」とにべもない。よ>>続きを読む

生きる(1952年製作の映画)

4.5

 お酒のせいでつい本音が出てしまったりする。お通夜の席だからタダ酒を呑み放題というのも好都合だし、しかも上役連の退散で清々して、市民課員みんなの気が緩んだとも眺められるだろう。
 彼らのボヤくのは、仕
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お祭り野郎 魚河岸の兄弟分(1976年製作の映画)

3.7

 Oh!Matsuri野郎グローバル?と思ったらJAL機は博多に着陸。なら、松方だからお祭り股旅物なんてのもどうだろう。ところが、どんたくをあっさりこなして翌朝魚河岸出勤ということで、れっきとした老舗>>続きを読む

スーヴェニア -私たちが愛した時間、後に-(2021年製作の映画)

4.0

 思い起こせば、ベルリンの壁が人々の手で崩された年だったっけ。その前にアンソニーが死んで。

 今また彼の両親も亡くなって、という事だろうか。今、だから、彼がジャンキーだったことも打ち明けられる。そん
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レイトオータム(2010年製作の映画)

4.1

 出会って別れてまた出会う。別れると決まっている行きずり男の厚かましさも生き辛いと定まったような余生の最初の息抜き、この72時間の慰めにはなるかも知れない。

 追い詰められたようになって殺したのは夫
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フリークスアウト(2021年製作の映画)

4.0

 実はフランツ、6本指らしい。といってもこれはフランツ・リストにまつわるただのうわさ。
 5本指の名人がリスト十八般に熟達すればそれだけで名声を築けるだろうが、映画のフランツ、真正6本指の天才には実は
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父ありき(1942年製作の映画)

4.1

 日中戦争が俄然世界戦争に進展してしまう。少なからず、そうなるものと長年思いながら、いつ?どのように?と案じる不安がついに解けて心が束の間晴れたなら、きっと斎藤茂吉のように嘘ともつかぬ清々しさで前を向>>続きを読む

シン・オブ・アメリカ(2021年製作の映画)

4.0

 保安官の皮を被った実は強請たかりの犯罪者で、のらくら者のくせに正義のかけらが支えであったりとブルース・ウィリスに求められる役は複雑怪奇だ。
 こんな男がNY市警ではうだつが上がらなくて、ではなんであ
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許されざる者(1959年製作の映画)

4.1

 映画の特徴は出来事の様相、その外貌を動かして見せて余計な想像を省いてくれるところにあるだろう。その分、そのような事件を被る、または推進させる人物の心中を推し量る、こころの働きを助長させるだろう。>>続きを読む

アフリカの女王(1951年製作の映画)

4.0

 WW1下のアフリカ中東部、内水域で最大の脅威は排水量100トン、6ポンド砲を搭載したドイツ帝国砲艦。兄の死期を早めた怨敵ドイツへの報復にこれ以上の獲物はあるまい、と女提督ローズが日和見なボギー船長の>>続きを読む

あのクリスマス(2021年製作の映画)

4.0

 あんなことになったのは40年も前。ホワイト・クリスマスの歌に記されたような懐かしいよろこびとは裏腹な家族の第二の破綻に際して、私は父を選び、弟マチュウは新しい家族を選んでしまった。
 あのときはまだ
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