足らんティーノ

パプリカの足らんティーノのレビュー・感想・評価

パプリカ(2006年製作の映画)
5.0
2回目の鑑賞。
早逝した今敏の遺作にして、平沢進に由来するフラクタル構造の到達点。

「久しぶりにすげー夢を見たよ」

「昨日見た夢。
今日の夢。
浮かれ浮き世の憂さ晴らし。
腕が鳴る鳴る、金が成る成る木を育てませ。
いいえ、蕾のうちが華。
そうそ留めて、永遠に。
華もなければ実も成らぬ。
どうせないなら、何もせぬ。
そんな不満を一票に、託して入れてよ、この目玉。
誰が渡すか、この玉座。
我こそが、皇帝也。
神が定めたノダ。
わしはそんなこと定めておらん!
神も仏も宗旨変え。
浮かれ浮き世の憂さ晴らし。
浮かれ浮き世の憂さ晴らし。 」

「蛙たちの笛や太鼓にあわせて、回収中の不燃ごみが後から後から吹き出してくるさまは圧巻で、まるでコンピュータグラフィックスなんだそれが!総天然色の青春グラフィティーの一億総プチブルを私が許さないことぐらい、オセアニアじゃ常識なんだよ!さぁ!今こそ青空に向かって凱旋だ!絢爛たる紙ふぶきは鳥居をくぐり、周波数を同じくするポストと冷蔵庫は先鋒を司れ! 賞味期限を気にする無頼の輩は花電車の進む道にさながらシミとなってはばかることはない!
思い知るがいい!三角定規たちの肝臓を!
さぁ!この祭典こそ内なる小学3年生が決めた遙かなる望遠カメラ!
進め!集まれ!
私こそが!
お代官様!
すぐだ!
すぐにもだ!  
わたしを迎えいれるのだ!!
うん。必ずしも泥棒が悪いとはお地蔵様も言わなかった。
パプリカのビキニより、DCミニの回収に漕ぎ出すことが幸せの秩序です。
五人官女だってです! 」

浮かれ浮世の憂さ晴らし。
夢は人間性の避難民。
理事長は自然派総天然色、小山内君は理事長の体、こちらにも正義が。
「マッチポンプのくせに」
夢見る夢は科学の恣意性を理由に否定できないほどに自由。
人はそれぞれ違う夢を見る。

刑事は夢の続きを夢むがトラウマ。

ピリッとスパイスのパプリカは夢の女。
2次元の枠組みの中で敦子もまた夢の女。

筒井康隆作品の魅力は「常識からの逸脱」、つまり常識外のものを常識的に組み合わせる、あるいは常識内のものを非常識な仕方で組み合わせるような捩れにこそあるという。彼が筒井の諸作品に学んだことは、「常識という枠組みを疑え」ということ。多くの人が共有しているであろう常識内で世界観を構築したところで、結局は常識の範囲にとどまるものにしかならないからである。(wiki引用)

2022-185
足らんティーノ

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