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パプリカのにののレビュー・感想・評価

パプリカ(2006年製作の映画)
4.8
あなたの夢、誰かに見せられますか?

夢に干渉できる。
そんな夢のような機械があったらどうなるのでしょうか。
精神病を患った方の夢はどうなんでしょう。
夢と現実の区別がつかない方もこの世にはいると聞きますが、その方はどんな夢を見てしまうのでしょうか。
気持ち悪くも美しい、そんな非現実なのに現実味のある映像が魅力的でした。
アニメだからこそ表現できる「人間のバグ」の違和感。その違和感は、違和感ではなく日常に溶け込んでいました。
魅せられたのか、魅せられるように仕組まれていたのかすら気付かないほどに。

人はレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返すうちに夢を3回ほど見ると言われているそうですね。
そして最初の夢は起きる時には覚えていないのだとか。
睡眠は脳の整理。
最初の夢ほど、整理する状況も多く、複雑な夢を見るのではないでしょうか。
すなわち夢への侵入を許すということは個人情報のみならず感情や、思考パターンすらも視覚化されている世界に他人を招いているということ。
それは理性の内側への侵入に他ならず、
他に侵入されたら、もはや自分の脳の整理が自分で抑えられる領域を超えてしまうのではないでしょうか。

もしかしたら、お亡くなりになられた今敏さんは、全人類共通の「夢」の概念に入り込んでいるのかもしれないとも考えさせられる作品でした。

映像美、アニメならではの表現が輝いており
夢や精神病などに関心がある方に是非とも見てほしい作品です。
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