映画おじいさん

東京湾/左ききの狙撃者 東京湾の映画おじいさんのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

空撮、望遠、浜村純目線のPOVらが連なるオープニングからスリリング。

何と言っても西村晃と犯人の列車でのまさかのアクション。
今思い出しても「ドッ!ドッ!ドッ!」と列車に引きずられる犯人が地面に叩きつけられる音が聞こえそうな凄いトラウマ画だった(本編ではそんな効果音はなかったはず)。

朝日を浴びて鉄橋からヘチマのようにぶらりと垂れ下がる二人。西村が言った「刑事ってもんは友情よりも犯人逮捕から喜びを得るようになる(←みたいなこと。うる覚え)」の言葉と、犯人が言った「戦地でお前(西村)を助けたことは無駄だった(←うる覚え)」の言葉、その両方が思い出されて虚無な気分に。救いがなさ過ぎて最高。

犯人の妻に西村の部下が報告に行くが真実なんて話せない。頭が弱く天真爛漫な妻が差し出す犯人のメモに涙し、部下に対してもそうだよなあという気持ちでいっぱいになる美しいラスト。
この妻のようなキャラは邦画では絶滅したけど韓国映画に生きていると思うのは私だけかな。邦画にも復帰して欲しい。

あと悪い加藤嘉を見ることが出来て得した気分にもなった。

ディテールも凝っているし、観るたびに新たな発見がありそう。形が定まる前の刑事物の傑作。