飯

死の棘の飯のレビュー・感想・評価

死の棘(1990年製作の映画)
5.0
Art houseだな。

室内シーンの圧迫感が半端なかったし、内容自体も少ないけれど、小栗康平の「玄」学が貫かれていた。山水画の遠景が観客の心緒を離間させる一方、演技の飽満度もまた人を瞠若たらしめるものだ。

妻を「他者」として忠実に再現するのも、男性叙事の中で珍しいこと。

「病妻」は本質上、日本伝統と軍国主義への反抗である。被害者立場の女性にとって、復讐はヒステリーでないとならない。夫の償いは無力すぎて、逃げようもない。二人とも精神病院に入ることに限って、この恐怖婚姻への戦いが収束することになる。そして「日本病人」の償いが始まる。
飯