金宮さん

死の棘の金宮さんのレビュー・感想・評価

死の棘(1990年製作の映画)
4.5
岸部一徳さんの怪演が見れると聞いて。原作に応えるという意味では最高峰。

ドタバタと交代制のように癇癪を起こすのはどちらかというとコントに見えることも。ホラー調の劇伴も笑いへのフックのような感じとすら。

終盤に至ると、この状況で夫側が何を考えているのだろうか?というのがわからないというか想像もしきれない度数が増していく。(棒を水たまりに、、のシーン!)口調からも表情からもわからない。観る側は自分で考えるしかない。なるほどこれは岸部一徳さんにしかできないや。すげえ。

鑑賞後、作品紹介のあらすじを見るとなかなか強めな背景が書いてある。これを知っていれば夫婦に対して寄り添う気持ちが多少生まれたと思う。でも映画単体で見ると明確には描かれていないような気がする。劇中のみでは安易な同情には誘導しない。

色々調べて最後にびっくりしたのは原作が私小説でほぼ実話だってこと。なんというか、文字化できない。凄すぎる事実。

「子どもたちのこと考えたら、ある程度早めの段階で病院つれていけたじゃん。でもやれなかった、文筆家としての性が勝ったのかな。恐ろしや」的なコメントを三島由紀夫がしていたみたい。私小説家は自分の人生がネタだから?

夫側は恥の感覚があり隠してるのかと幼稚な想像をしていた。ううむ、文筆家としての性だとしたら確かに恐ろしや。
金宮さん

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