あおい

松ヶ根乱射事件のあおいのレビュー・感想・評価

松ヶ根乱射事件(2006年製作の映画)
3.5
ファーゴを観ているときに頭にチラついたけど正直全然覚えていなかったので見直したところ、
雪景色とか主人公のダウンジャケットとか装飾の部分でのオマージュが多く見受けられた。内容や設定は、警察や車の事故など似てるところあったけど、似てたり似てなかったりな印象。あと、フィクション設定もオマージュしてましたね。まぁこの作品は思いっきりフィクションコメディだったけどね。
田舎の閉塞感を良く描けていたと思う。平和で均衡しているように見えていた田舎に新しい風が吹き込みどんどんあらわになっていく感じ。似てる。警察という街全体そしてそこで生活をともにする家族や友達を描く視点が良かった。また、田舎が故、性格と職がリンクし、警察=真面目という説明が設定だけで説明できていたし、田舎ののんびりほのぼの感の中に疼く闇が少しずつあらわになっていく際、主人公の真面目さや素直さによってより共感できた。それだけでなく、実は手を犯してしまっていた事実が発覚し、ストーリーに深みを与えるとともに真面目な主人公に共感(自分も真面目で純粋無垢なんだと思い込んでいた)しきっていたこちら側心の中をもえぐられた感覚があった。肩を落とし一点を見つめる新井浩文を正面からクローズアップしたあの表情は忘れなれない。
鼠はこの映画の象徴だったように思う。派出所を這い回る鼠は、あのカップルが田舎の均衡を崩していく姿であると同時に警察や真面目な息子としての焦燥感(実際にいるのかどうかわからないことで)だったと思う。リアリティを追求したのかどの会話のシーンも無駄な多く間と話し方か妙で面白かった。
あおい

あおい