実在したイタリア・シチリア島の義賊、サルヴァトーレ・ジュリアーノ伝。
監督はマイケルチミノだし、原作はマリオ・プーゾなので、ゴットファーザー的な重厚なドラマと思いきや、わりと凡庸なセミドキュメンタリーに仕上がっている。
戦争描写や黒シャツ隊が登場しない。共産主義の台頭みたいのはやってるので、世界恐慌のあたり――映画でいうと「1900年」でやってた時代かと勝手に考えてたら、1940年代の話でびっくりした。そこに触れると長くなるからなかったことにしたのかな？ だったら、冒頭のお屋敷で服を脱ぎ捨てながら裸になっていくプロットが、ちょっとしっくりこないよなぁと思った。
イタリアにおいては、痩せた土地と長く続いた農奴制が、共産主義の流行を招いたと思ってたんだけど、もしかするとそこに戦争による消耗も入っていたのかもしれない。
シチリアンマフィアも登場するけど、「ゴットファーザー」というよりも、「ブーペの恋人」のほうにより近かった。「シチリア！シチリア！」とか「カオス・シチリア物語」みたいなフォークロアテイストも皆無。
ファシズム相手のパルチザンが、終戦を迎えて共産主義に近い立ち位置の犯罪者集団になったけど、マフィアにはなれなかったという話だった。
関連作である「シシリーの黒い霧」も見てみようと思う。
面白かった！
