シシリアンのアノのレビュー・感想・評価

床屋の親父を殺してから息子に形見を渡しに行ったクリストファー・ランバートの情けない面構え。身に余る力に振り回される愚かな男の映画。しかしたなびくカーテンの向こうからジョス・アクランドの前に現れるシーンの神々しさは紛れもなく稀代の英雄の姿でもある。
ランバートに限らず人が殺されるシーンの湿り気が全て的確。事更にあっさりもせず、劇的でなくとも重さを与える演出がある。

『天国の門』同様ダンスパーティーのシーンが素晴らしい。逐一舞っていく鳥と凧。