みおこし

尼僧物語のみおこしのレビュー・感想・評価

尼僧物語(1959年製作の映画)
3.5
スター・チャンネルでオードリー特集をやっているので、ここぞとばかりに観たことなかったものをコンプリート!

ベルギーに住むガブリエルは、尼僧になる決心をして家を出る。数ヶ月に渡る厳しい戒律生活を経て、シスター・ルークという名を与えられるが、念願だったコンゴへの派遣部隊には選ばれず、ブリュッセルにある精神病院での仕事を命じられるが...。

「シスター・オードリーだ!可愛い!」なんて軽い気持ちで観始めたら(笑)あまりの重さに絶句...。監督はフレッド・ジンネマン。私が一番好きな彼の作品である『地上より永遠に』も時代を選ばずストレートな表現が随所に見られましたが、本作でも容赦なくシスターたちが直面する"現実"に切り込んでいました。
しかも当時の世相を考えると、治安がまだ整っていないアフリカの僻地に派遣され、そこでの労働を命じられる若い尼僧たちの苦労といったら想像を絶します。神のため、人のため、全てを捧げて仕事に勤しむ尼僧たちが危険な状況に晒されるのも無理はないなと。

オードリー扮するシスター・ルークは、ちょっぴり向こう見ずなところもあるし、すごく感情的な女の子なので、尼僧といえど非常に人間らしい性格。だからこそ観客は彼女に感情移入してしまいます。自分が修道院に入るなんて想像がつかないけれど、俗世間を断ち切るって並大抵の信念では絶対にできないなと、改めてその決断の意味するものを深く考えさせられました。
この作品以前は、若い無邪気な娘役が多かったオードリーが、雰囲気をガラリと変えて挑んだ意欲作。圧倒的な存在感でした。
脇を固めた若き日のピーター・フィンチも素敵でした!

『天使にラブ・ソングを...』を観るたび、「シスターたち楽しそうだな〜」とほっこりするのですが、これだけの厳しい日々を送っていたらあの合唱が楽しいのは当然だよな、と要らぬ納得をしてしまいました(笑)。
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