アメリカの黒人街に住む個性的な黒人たちに加え、イタリア人や韓国人も含む多種多様な人間模様を群像劇として描く。そんな中で差別主義者であるイタリア人が営むピザ屋を中心に据えた点がポイント。イタリア人も黒人もルーツを辿ればアメリカ大陸に流れ着いた民であり、また店主は40年ここでピザを黒人たちに食べさせてきた誇りがあり、黒人たちもピザの味に満足しているという関係性がある。それが37度の蒸し暑いある日、溜まった鬱憤が爆発し、暴動が起きて店が燃えて跡形もなくなってしまう。憎み憎み合う関係性が引き起こす虚無感が心を捉える名作である。