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斬るのasayowaiのレビュー・感想・評価

斬る(1962年製作の映画)
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たった70分の映画だけど、時代劇最高傑作だと思う。
製作は1962年。日本の映画の歴史からすれば、時代劇はこれ以降廃れていくジャンルなんだが、そこは大映時代劇。三弦の構えが邪剣であるように、東映的な王道時代劇とは一風変わったというか我が道を行く異端の時代劇だった。
まず、時間の流れがとんでもなく早い。冒頭で二十年後のキャプションが入ったかと思うと雷蔵が三年の旅に出るという。これは旅先で腕を磨く展開になるかと思うと、そこもすっ飛ばし三年後へ。
原作がどうなっているか知らんが、三弦の構えを編み出した経緯も旅先で見た門付けから発想を得たとごく簡単に説明されるのみ。その他、雷蔵の感情表現や、殺陣の手数、音の演出などすべてが最小限に抑えられている。まさにタイトル通り『斬る』だけのシンプルな演出。
時代劇はいわゆるアクション映画ではなく一つの様式の映画だということがよくわかる映画。
DVDレンタルで見たんだけど、この映画いくつかヴァージョンがあるのかな?予告編にのみ入っていた人体を一刀両断するカットを本編で見た、という情報を散見するんだけど。
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