コーヒーマメ

の・ようなもののコーヒーマメのレビュー・感想・評価

の・ようなもの(1981年製作の映画)
3.5
今、こんなにも奇妙な映画は作られるのだろうか?
制作から公開に至る、ほぼ全ての工程を自ら行った、森田芳光デビュー作。

紆余曲折の末に生まれたけど、実は、公開までの道のりと同等に映画本編も、これまたヘンテコ。
いわば、落語を生業にする若者の青春群像劇であり、それぞれのストーリーをゴダールのような手際良い編集で繋げていき、可笑しなタイミングで挿し込まれるナンセンスな効果音を付け足していく。

あと、主役・志ん魚(しんとと)を演じる伊藤克信が台詞を完全に棒読みしてる。
意図的かも知らないけど、彼といい、『ハッピーアワー』の出演者(特に、原始人みたいな髪型の男)といい、一般的には決して上手いとは言い難い演技でも心惹かれるものがある。
演技って奥深いなぁ。
小堺一機や関根勤の若かりし頃も見どころかも!? オネエ口調の2人、今と変わりません。

全編に散りばめられた違和感が、作品の魅力に直結している。
人々の日常に潜んだ可笑しさをすくい取った、シュールでポップで奇妙な映画。
秋吉久美子をはじめ、35年前の映画とは思えないほど今見ても超可愛い女の子がバンバン出てくるのも魅力!!