ベンジャミンサムナー

の・ようなもののベンジャミンサムナーのレビュー・感想・評価

の・ようなもの(1981年製作の映画)
3.5
「面白い人がいっぱいいるわね」

森田監督の作品を観るのはこれで二作目だが、『家族ゲーム』で本筋と関係ない人物を出してきたり、人物の別個の仕草を同時に映したり(あの横並びの食卓シーンや、休み時間のグラウンドを俯瞰で撮ったり、職員室の場面で画面出前でリンゴ剥いてる職員を配したりだとか)していた意味が分かった気がした。

森田監督は個性の異なる人間(各々が変なこだわりを持った人々)がひしめき合ってる世界の豊かさを描きたいんだろうなぁ。と、思った。ジャック・タチの『プレイタイム』みたいに。
『家族ゲーム』や本作の中盤で団地を舞台にしているのもそのためかぁ。と、さらに納得。

本作でいうと秋吉久美子演じるエリザベスが、自分の体温を色分けされた棒グラフにしているこだわりには笑った。

でも、よりオフビートでシュールな方向に特化した『家族ゲーム』の方が、中毒性が高くて好きかな。

芯ん米のお祝いの場から段々人が去っていく切ない余韻のエンドロールは『ぼくの伯父さんの休日』のラストを連想するし、やっぱり森田監督ってジャック・タチが好きだったんだろうか?