青山

スターシップ・トゥルーパーズの青山のレビュー・感想・評価

4.0

ハイスクールを卒業したリコは、彼女のカルメンのために地球連邦軍に入隊するが、折しも虫(バグズ)との宇宙戦争が始まり......。


ヴァーホーヴェンの性格の悪さとセンスの良さが光る怪怪怪怪作。
色んなジャンルの映画の劣悪なパロディになっていて、知性を振り絞って逆に低俗にし、センスによってあえて品性下劣に仕上げた、一つの壮大な皮肉のような映画なんですね。

冒頭からして、戦意高揚プロパガンダ映像によって戦争の気持ち悪さを描いています。
そして、『グリース』とかみたいなくだらない昔のハイスクール青春映画をなぞることで若者たちの人間関係の薄っぺらさを嘲笑し、それを『フルメタ』の鬼軍曹や微笑みデブのパロディと組み合わせるという異様な違和感でもって引き込まれます。

さらには全編にわたってあまりにもダサすぎる気持ち悪い映像で安っぽい壮大さを出して来るあたりは、この後の監督の進退を考えるとハリウッドの大作映画そのものへの皮肉のようにも見えて、私のような純真無垢な人間はその素直な反骨精神に共感してしまいます。


しかし、そんな捻くれまくりの作品ではありながら、しかしちゃんと"超大作"としても面白く作ってあるあたりのサービス精神もさすがでありまして。
ちゃんとドラマの動きが激しく、ホラー混じりのSFアクションとしてもハラハラします。
そのへんも手を抜かずに真面目に悪ふざけをしてるからこそ、こっちも安心してゲラゲラとニヒルに爆笑できるんですよね。

ただ、あのクソビッチだけは出て来るたびにイラっとするから序盤で二階級特進してほしかったですね......。
青山

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