タケル

遊星からの物体Xのタケルのレビュー・感想・評価

遊星からの物体X(1982年製作の映画)
4.0
あり得ない設定だけど妙にリアル。おそらく、人とモンスターが長期の肉弾戦に及ぶような"茶番"がないからだろう。かといって、強力なモンスターが人間を一方的に殺戮するわけでもなかったのが面白い。

取り込んだ生物に同化・擬態する厄介な性質を持つモンスターだが、戦闘力は相対的に低く、火炎放射であっけなく消滅してしまった。高度な能力を有していても、人間の単純な暴力には敵わないのが非常にリアルに感じられた。「寄生獣」でも同じような描写があったと記憶しているが、おそらく元ネタは今作だろう。
逆に言えば、生物としてのヒトを弱者として描く作品には現実味を感じられない。人間は自分たちでも制御しきれないような大きな力を生み出してしまう生き物なのだから。

心臓マッサージのシーンでは思わず声が出てしまうほど驚いた。そしてなぜか笑えてきた。グロテスクも突き詰めると笑いになるというのは興味深い。
タケル

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