似太郎

地獄の黙示録の似太郎のレビュー・感想・評価

地獄の黙示録(1979年製作の映画)
3.8
コッポラの情熱(狂気の70年代の締めくくり)がどこか別の方向へと向かった意味で何とも歯痒い出来となってしまった。

まず、本来キーパーソンであるカーツ大佐(マーロン・ブランド)の役柄がほとんど映画の中で意味を成してないし、彼の「王国建設」の夢もどーしてこうなるの?といった疑問が湧いてきて後半は完全に有耶無耶になっていると思うのだ。

最大の見所はやはり中盤のロバート・デュヴァル演じるキルゴア中佐によるナパーム弾攻撃。あからさまなベトナム人差別描写は右派のジョン・ミリアスの書いた脚本上仕方ないとしても、中途半端な出来である。反戦映画として完全に失格。

ヴィジュアル面はキューブリックの『2001年宇宙の旅』を多分に意識。戦争映画をアートっぽく仕立てようとする魂胆が透けて見えてしまい、コッポラの試行錯誤が伺える。思い切ってヤンチャなエンタメにした方が幾分成功したのでは?と個人的に思うのだが…。😓

別につまらなくはないが、観た後納得できない要素が盛り沢山でそういった意味で真に頓珍漢な作品なのかも知れない。
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