地獄の黙示録の作品情報・感想・評価・動画配信

地獄の黙示録1979年製作の映画)

APOCALYPSE NOW

製作国:

上映時間:153分

ジャンル:

3.8

「地獄の黙示録」に投稿された感想・評価

ウサミ

ウサミの感想・評価

4.2
怪物と戦うのを避けよ
さもなくば自身も怪物となる
深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いている

 ——フリードリヒ・ニーチェ

…みたいな。
わかったフリをするのはやめますが、難解かつ不明瞭なこの映画、それでも心に焼き付いて離れないインパクトがあり、感情を揺さぶられてしまいました。

『ワルキューレの騎行』と共に流れる爆撃シーンのインパクトは、戦場に流れる恐怖や死の匂いを狂気で洗い流し、映画の本質を観客に無理矢理分からせるのに一役買っていました。

「黙示録」というタイトルの通り、神話的で、宗教的な内容。
かなり難解、それを通り越して理解不能ではありますが、退廃的な空気感と、戦争という倫理の歪んだ世界、といった、戦争映画においてしばしば問われる究極の狂気を味わうには十分でした。

戦争の中で価値観が転覆し、殺し合いをエンタメのように感じさせるのは『フルメタルジャケット』を思い出させます。

個人的な感覚としては、仰々しい構成と意味ありげな台詞、難解な脚本の割に、映画としては「空っぽ」な印象を抱きました。
マーロンブランドもマーティンシーンもロバートデュバルもデニスホッパーも…
正直、あまり興味深くは無かった。
それが寧ろ、心に残ったのです。
僕の心を上滑りしていくような哲学とメッセージ性が、映画の演出として浮き上がって、不気味な空気感を生み出しているようでした。

『プラトーン』を演じたチャーリーシーンも魅力的でしたが、父のマーティンシーンの色気が凄い。彼の熱演だけでも大いに見る価値ありでしょう。
難しい映画ですが、見る価値十分あります。それくらいしか言いようない深みがある大作だと思います。
えりん

えりんの感想・評価

4.0
前半は狂気に勢いがある感じだった。村を爆撃するのにワーグナー流しながら向かったり、戦闘中にサーフィンやらせるのなかなか狂ってた。爆発で始まる冒頭とか、タイミング良い音楽とか演出のセンスすごい。
後半カーツ大佐が出てきてから、ほんとに今までと同じ映画…?ってぐらい異様な雰囲気になる。まあでも結局カーツ大佐がイカれたのもベトナム戦争のせいだもんな…。後半も大分狂ってはいるけど静かに会話してるシーンが多くて、前半の勢いの反動でちょっとダレて感じちゃう。
トム

トムの感想・評価

3.3
特別完全版は長いのでこっち。クレイジーすぎる。
でもなんだかんだ初めて観たけど、既視感すごいあった。
特に、このシーンキングコング髑髏島の巨神で観たなあ。なんて。本来は逆なんだよなあ。
過去の名作は早目に見ておかないと、他の映画でオマージュされたときに気づかずスルーという、その映画の楽しみ要素をみすみす逃してしまうことになっちゃう。
でも見てない名作まだまだある…。

クリーンてローレンスフィッシュバーンだったのかよ。
課題のために鑑賞。
ヘリで爆撃するシーンは確かに圧巻だった、やっぱ荘厳な音楽と崩壊って組み合わせがいいなあ というかこの人が描いたのが最初なのかな?

もっと戦闘シーンが多いかと思ってたら、会話が多かったから戦争ものを見慣れてなくてもいけた。でも全体的に不穏な空気と狂気の匂いに満ちていて怖かった。てか一人でこんな危険なこと任される主人公かわいそうすぎやろ

最初ドアーズで始まり、最後ドアーズで終わる演出が雰囲気ぴったりでそこは好きだった。

後半からはほぼカルト宗教の話だった。戦争でも何でも、人間の狂気が1番怖い。
冒頭から不機嫌極まりない殺し屋を岡田准一君に演じてもらいたい。
たす

たすの感想・評価

2.8
ベトナム戦争を扱った映画を観るのはこれが4作品目。「プラトーン」、「ディア・ハンター」、「フルメタルジャケット」の次が本作。同じ戦争を扱っているのにこうも違うか…と毎回驚かされるが、中でも本作は突出して異なる。なにしろ狙う相手が他国ではなく自国の人。元グリーンベレーであり、それを主人公が1人で遂行していくというから衝撃。

前半は戦争のシーンが描かれており、特に空軍の爆撃は迫力があってものすごかった。二度と起きてはいけないけど、威力があってかっこよかった。それを指揮するキルゴア中佐もカリスマ的でかっこよかった。あまりにもサーフィン好きで途中から引いたけど。笑 ふざけてるなーと笑いながら鑑賞できて良かった。

後半のカーツ大佐に近づいてからがもう謎すぎて私の頭はパニック。オカルトすぎてカオスすぎてカーツ大佐にどん引き。。もはやそこは地獄だった。意味不明。哲学的なメッセージを理解できなかったし、心掴まれるものがなかった。。なんだろう、難しい、、、カオス。
maya

mayaの感想・評価

4.5
これは...なんの映画になるんだろう...
映画でしかできない表現をできている映画ほど、「主題」は文章化できなくなると思うのだが、本作はまさにそれ。
途中までは戦争モノだと思ってたけど、カンボジアについてからは、カルトの色合いの方が強くなる。マンソンのシャロンテート事件が出てくるあたりからして、「1969以降アメリカ」のコッポラなりの表現に感じる。同じテーマで最近タランティーノが「ワンハリ」を撮っているので、それも併せて楽しめました。
「二つの波」や最後のシーンは絶対十戒オマージュだよね、ということと、コッポラは男性を光の当て方でエロく撮るのが大変すばらしいですね、というところまでは、なんとか理解できたところです。
作中出てきたどの女性陣よりも(全員わざわざ薄っぺらかったなぁ、、プレイメイトとか未亡人フレンチとか)ウィラードがいちばんエロく撮られてるの、「満点」って感じだ。
ぎー

ぎーの感想・評価

2.0
沢山映画を見て来て、全く理解できない映画はいくつかあったけど、この映画もその一つ。
コッポラ自身が語っているように、何を伝えたいのかよく分からない映画。
だからはっきり言って心を動かされなかった。
戦争が人を狂わせること、戦争に向かう人の心を悩ませるということは何となくわかった。
でも、それに尽きるといったところ。
特に後半は意味不明。
もしベトナム戦争関連の映画を見たい人がいるとしたら、この映画を一回見るぐらいなら、「プラトーン」や「ディアハンター」をそれぞれ10回ずつぐらい見る方が遥かに有意義だと個人的には思う。

そもそも、他の名作と違ってベトナム戦争のど真ん中を扱った映画ではない。
主人公のウィラード大尉が上層部に従わなくなったカーツ大佐を討伐しようとする映画。
任務の内容にウィラード大尉も動揺するが、ベトナム戦争の映画だと思って見始めた自分も強く動揺した。

それでも、カーツ大佐の支配領域に到達するまでの、ウィラード大尉達の道筋は、ベトナム戦争の空気感がヒシヒシと伝わってくる、名作と言われる理由がわかる展開だった。
特に序盤で遭遇するギルゴア中佐のインパクトは絶大!
一番印象に残っているシーンも、ギルゴア中佐の指揮でアメリカ軍がナパーム爆弾を使って空爆をする場面。
世界史の資料集なんかでも引用される、ベトナム戦争を象徴する名シーン。
ワルキューレの騎行に合わせてヘリコプター攻撃をかけるシーンの迫力も凄まじかった!
映像が激しく綺麗。
そしてサーフィンをする場所を確保するために戦争に取り組むギルゴア中佐にドン引きする。
しかも、なんとギルゴア中佐を演じているのが、ゴッド・ファーザーズでトムを演じたロバート・デュバル!
全く気づかなかった。

その後だんだん戦場は混沌として来ると同時に、映画自体も混沌としてくる。
プレイメイトのステージ辺りまでは辛うじてついていけたけど、指揮官がいないまま訳もわからず戦闘を続けるアメリカ軍基地や、麻薬で狂っていく乗組員達を見ていると、こっちが気が狂いそうになってくる。
ベトナムの民間人の船を取り調べて乗組員を惨殺する場面は、本当に胸糞が悪かった。

カーツ大佐と会った後も、展開が見えてこない。
映画を見終わった後に出演者を調べるまでカーツ大佐がマーロン・ブランドだったことに気づかなかった。
正直、それぐらいインパクトが弱かった。

◆備忘ストーリー
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/地獄の黙示録
GreenT

GreenTの感想・評価

3.5
フランシス・フォード・コッポラ監督の世代の人たちにとって、ベトナム戦争はものすごい衝撃だったんだろうなと思わせる映画でした。

パームツリーのジャングルの爆撃にドアーズの音楽・・・この世代の映画監督によってドアーズはすっかり「ベトナム戦争の代名詞」になったなあと思いました。私たちの世代にはミュージック・アイコンでしかなかったジム・モリスンが、この世代にはもっと深い意味を持ってたんだろうなと。

このオープニングとウィラード大尉がサイゴンのホテルでPTSDのような症状を見せるマーティン・シーンの名演技で目が離せなくなりました。

ウィラード大尉はアーミーからカーツ大佐を"terminate Kurtz's command... with extreme prejudice"という任務を受けるのですが、この表現が「カーツ大佐を殺せと言っているの?」って曖昧な感じで、自分たちの味方を暗殺する任務はハッキリ言わない感じがミステリーを生んで、映画的にも上手いなと思いました。

ストーリーは特になく、ウィラード大尉がカーツ大佐の居所を突き止めるまでベトナムの川を下っていく(上っていく?)途中途中に出逢う光景が、ベトナム戦争の真の姿を映し出しているんだろうなと思いました。

ナパーム弾で海岸線をめちゃくちゃにしておいて、そこでサーフィンを楽しむキルゴア中佐(ロバート・デュヴァル)に唖然としてしまうのですが、戦争ってこういう人を作るんだなあというか、こういう人が出世するんだなあと思いながら観ていました。

カーツ大佐がアメリカ軍の命令に背いて自分で勝手にヴィエトナム人と戦い、ものすごい凄惨な方法で殺しをやっているというのが暗殺の動機なんですけど、このキルゴア中佐でも充分狂っているし、暗殺を請け負ったウィラード大尉も狂気との狭間にいる人間。

爆撃を受けて人がバンバン死んでいる戦場で「カメラを観るな!自然に歩け!」と指示しているTVレポーター(コッポラ監督が演じている)も、こういう環境にいると人ってこうなってしまうのかと思いました。

川を下って行く途中で起きる様々な出来事・・・。どこにも明確なルールはなく、きちんとした司令官もいない。兵士たちはすごい若いし、何が起こっているのかわからないまま放置されている印象を受ける。帰れるのかもわからない。戦っている目的もわからない。作戦も何もない。そんな中に放り出されて、頭がおかしくなっていない人はいないように見える。

途中、ジャングルの中でトラが出てくるシーンがあるのですが、このジャングルの映し方が素晴らしいなと思いました。「わあ〜」とうっとりするような映像です。爆弾バンバン落としているシーンも、とにかく映像は素晴らしいなと思いました。

しかし段々と「未開の地」みたくなって来ると、現地の部族みたいな人たちに襲われるようになる。こういう人たちは戦争の規定とかそういうものは通用しないだろうし、ジャングルの野生動物も含めて、これは精神的に逃げ場がない。

こういう戦争の真実にからめて、ウィラード大尉が任務の報告書を読み、カーツ大佐がどういう人なのか明かされていくところがすごく面白かった。ウィラード大尉がどんな危険を犯してもこのカーツ大佐に逢ってみたいという気持ちにすごく共感し、「私も逢ってみたい!」と思った。

報告書によると、カーツ大佐は自らの意思で、出世を棒に振ってまでベトナムに戻ってきて「神」を演じようとしていた、と示唆されているのですが、私はアフリカだか、どこかの原始的な生活をしている部族が、初めて白人を見たときに「神様だ」と思って崇めた、という話を聞いたことがあります。奥地に住んでいる人たちは、真っ白な白人の肌や、進んだ武器だの道具だのを持っていることで「すごい!神様だ!」って思ってしまったらしい。白人も「白人の方が優れている」って考えを持っている人たちだったから、「これって悲劇なのか、それとも本当に白人は優れているってことなのか」って考えさせられました。

このカーツ大佐の行動は、結局、戦争で恐ろしい体験をすると、もう普通の生活に戻れないんだってことを言いたいのかなと思った。ウィラード大尉も結局普通の生活に戻れなかったんだもんね。

ベトナムでこんな酷いことが行われていたということと、極限状態に置かれた人間の行動、ヒューマニティに対するコッポラ監督の恐怖を表現している映画なのだろうなと思いました。

現在の感覚で観ると、それを表現するために森林をバンバン燃やすのとか、水牛を生贄にするシーンもたまたまこの儀式を撮れたのではなく、動物を用意してやらせたらしいのですが、こういう行為も「神を演じる」ことに他ならないのでは、と思いました。戦争で森林が燃やされる様子を見てショックを受けた気持ちを自分の映画で再現したい、という気持ちは分かるのですが、そのために戦争でしたこと再現するというのは矛盾しているなあと。「戦争では酷いことだけど、アーティスティックな表現のためならいいんだ」という考え方には議論の余地があるなあと。

この映画の公開時と今では価値観が違うので、というかこういう映画があるからこそ「映画の倫理」というものが議論されてきたし、これからもされるわけだから、この映画を糾弾するものではないのですが。
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