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地獄の黙示録の毎日映画のレビュー・感想・評価

地獄の黙示録(1979年製作の映画)
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 ロードムービーでニューシネマという、イージーライダーに始まるお決まりの語り口とも言えるけど、ウィラードは既に負けた身でありながら、その先の道を往く事を選んだ(選ばされた)人な訳で、ロードムービー極まれりというか、負けた後に進む道は文字通り地獄しか無かったみたいな。
 ウィラードに先んじてその道を行ったカーツもどん詰まり、彼はカーツの意志を果たすけど、その彼の取った行動ってのは結局軍(=アメリカ)の命令を遂行する事と何ら変わる事ではなくなっている訳で。その道を進む事すらしない植民地主義者のキルゴアは、ナパームで焼き払ったビーチでサーフィンをしている。帝国主義(資本主義)の前では、人間はいずれにせよ、何らかの形で翻弄されて狂うしかない。
 結局アメリカに出来るのは植民地を塀で囲って、そこに小さなアメリカを作る事でしかない。日本だってそう。
 何度観ても、こんな映像が「撮れてしまった」というのは記憶しておくべきだと思う。確かに映画を観ているだけなんだけど、巧みすぎて、観てるこっちの人生が侵されていく感じがある。
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