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下妻物語のBeatのネタバレレビュー・内容・結末

下妻物語(2004年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

アメリカの夜や殺人の追憶を薦めてくれた後輩が推していた邦画なので鑑賞。

ロリータとヤンキーの邂逅と融和という対比的な二者を動かすストーリー展開はセオリー通りだが、サイケデリックな色調と破天荒なギャグ要素の投入で唯一無二性が立ち現れ作品としての完成度は高い。嫌なところがないという意味でいい映画。

主人公の桃子をアニメやマンガで一時代を築いた「ヤレヤレ系主人公」と見ることもでき、孤立した状態から徐々に友情を育む様は既視感を覚える。それでも「またいつものパターンかよ」と思わせないのは脚本も務めた監督の手腕だろう。

樹木希林は出てくると大抵面白いので凄い。話の本筋を進めながら画面端で意味不明な行動をさせるだけで笑えてくる。笑える要素の潜ませ方が上手い。

しかもどうやらこの映画海外でも上映され(フランスやアメリカ)、国内より海外の方が興収が上らしい。まったく、何が受け入れられるかわからんもんだ。


映画に求めるものが迫力偏重になってきている昨今、予算を確保しづらい邦画はなかなか大変だなと感じる。アクション映画ばかりが映画館で観られるのが常態化すると作家性や繊細さが映画の世界から喪失することもあるかもしれない。
映画を通して得られる体験の多様さを認識し、日本のクリエイターも応援していきたい限り。
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