似太郎

殺し屋1の似太郎のレビュー・感想・評価

殺し屋1(2001年製作の映画)
5.0
泣く子も黙る、三池の最高傑作!🤯長尺を全く飽きさせない力量とスピード感がスゴイ!の一言。

浅野忠信演じる全身ピアスの怪人でマゾヤクザの垣原と大森南朋が演じる精神年齢の低いドSの殺し屋1との死闘を描くスーパー・バイオレンス。脚本は佐藤佐吉。

R-18指定映画なのでたしかにドン引きする暴力/性描写は多いが、全編ハイテンションなギャグ・タッチなので「怖い」とは思わない。これならまだR-15指定の園子温の『自殺サークル』の方が心理的に怖い気がする。

誰もが恐れるタブーに挑戦。今村昌平の助監督だった三池崇史が、やはり土着的なリアリズムでカオスな新宿歌舞伎町を丹念に撮り上げている。内容はゲチョゲチョしているが、極めて正攻法な作りだった。

ラストシーンの塚本晋也が演じるジジイの自殺の意味が分からないという人は結構いるようだが、あれはマゾの垣原の死後の幻覚に嵌まった事で、鉄砲玉の父親(SABU)を1によって殺されたタケシ少年に対する償いだったのではないか?と推察する。🤔

このような21世紀初頭のモラルハザード感溢れる描写の数々は、ある種の「終末」を感じさせる独特なムードがある。その辺りも園子温の『自殺サークル』に近い作品だろう。

【奇を衒ってるようで実は衒っていない】【滅茶苦茶やってるようで実は計算されている】という職人監督=三池崇史の本領が発揮された伝統的な日本製バイオレンス映画の傑作❗️
似太郎

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