環奈

沈黙の女/ロウフィールド館の惨劇の環奈のレビュー・感想・評価

4.4
ギリギリの世界。単なるブルジョワ崩壊ものとしては観なかった。
過度な脚色に頼らない「普通の会話」の中で、浮かびあがる溝と感情の機微の蓄積

家族同士のショットを長回しで捉えて、ソフィーが介入するたびぶつ切りに切り返すのが上手い

ある意味ほぼ逆ギレみたいなノリで最後の逆転の儀式なんだけど、そこまでの過程に納得感。
全く正当性のない怒りによる儀式が発生しうる世界。つまり現実にまつわる映画

個人的に観てて違和感があった、主人公2人の関係性
持たざる者同士が儀式のように秘密を共有して、三つ編み揃えて、友情を育み共犯になっていくわけだけど
先天性のディスレクシアと、助けてあげる側の揺るがない格差
ラスト屋敷に向かう車内のソフィーの表情、
社会の枠組みを超越した、生まれながらの隔たりの無限地獄が、単なる露悪カタルシスで終わらない悲哀を産んでて刺さった
環奈

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