1974年作品のリメイク。
前作でかなり気になっていた突拍子もない話運びが整理され、納得しやすい今っぽいつくりになった正統派リメイクだ。
例えば何の作業なのか意味のわからなかった沼作業で泥まみれになる前作のシークエンスは全カットしつつ、練習シーンで泥まみれさせることによって前作を踏襲しながら意味のあるシークエンスに置き換えている。これによって前作で希薄だったチーム感の強化に繋がった。
さらに前作で重要なとあるシーンでは、前作を見た人へのフェイントを混ぜたサービスまでしてくれる。
それでも点数を下げてしまったのはトランスジェンダーの扱いだ。トランス女性と思しきチームは全員娼婦のような描き方をして常に発情しているセックス狂のようになっているし、女性ホルモン剤を飲んだ男性がなぜか"オネエ"になってしまう。男性同士のセックスをバラされて笑い物にするアウティングまである。2005年でこれはキツい。ゲイやトランスジェンダーへの差別的な嘲笑が何回も何回も繰り返されて辟易する。
前作で主人公への感情移入を阻害していた冒頭の衝撃DVシーンをしっかり描き直してせっかく上手くいっていたリメイクでもこれで台無し。2023年の今、とてもじゃないけど人に薦められない作品になってしまった。残念。
