電気羊

エル・スールの電気羊のレビュー・感想・評価

エル・スール(1982年製作の映画)
3.8
「エル・スール」とは主人公の父親の生まれ故郷の地名だとか。

主人公の少女には、ダウンジング亡くしモノを探し出す特技がある医者の父親がいた。父親は村人からも尊敬されており、少女も父親を尊敬していた。

そんなある日、入るなと言われていた父親の部屋へ無断で入った少女は、机の引き出しから、見知らぬ女性の似顔絵と名前が書かれた手紙を見つけ出す。

少女は、それは触れてはいけないものだと認識し、心の中に秘密にしてしまう。

ある夜、少女が町から自宅へ戻る途中、父親のバイクが映画館の前に駐輪されているのを見つける。
少女は好奇心から、映画館の受付に行き、受付嬢から上映中の映画のチラシを見せてもらう。果たして、そのチラシには、父親の手紙に描かれていた女性の似顔絵に似た女優とその名前が掲載されていた。

実は、その女性はあまり売れていない女優で、父親は妻子がありながらその女優と交際していた過去があり、今でもその女優に思いを寄せ手紙のやり取りをしていたことを知る。

父親のことは尊敬しているが、母親や自分がいながら、他の女性に好意を寄せる父親への心理的壁ができてしまい、その日以来、父親への接する態度がよそよそしくなってしまう。

時は経ち、成長した少女に会いに来た父親だったが、ついには昔のような関係には戻ることはなかった。

それから数日後、父親はある朝、所持品をすべて家において自転車で川原に出かけ、猟銃自殺をする。
娘は、父親の悩みを理解してあげられなかったことを後悔し、父親の生まれ故郷へと旅立つのだった。

親子と言えども究極的には他人。心をすべて理解することは出来ないんだよね。
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