さちか

エル・スールのさちかのネタバレレビュー・内容・結末

エル・スール(1982年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

スペイン映画
始まりは、スペインの北部のどこかで暮らしている少女エストレーリャの目覚めのシーンから始まる。優しくて教養ある母親と物静かでどこか影がある父親のもとに育てられた。
そんな少女は、父親がここの土地(北部の出身)ではなく、スペインの南部"エル・スール"の出身であった事、父が祖父と絶縁状態にある事を母親の話を通して、
加えて久方ぶりに会う祖母と父の乳母に出会い、自分の父親について知るようになる。
ある日、父が昔関係があり、今も忘れられずにいる女性イレーヌの存在を知り、父親の共犯者になる。
あの、咄嗟の嘘は子供心に"庇おう"という気持ちが生まれたのか、何も知らぬ母を思っての事だったのか。
ベットの下で隠れて父親に探してもらう
シーンの描写はぐっと来るものがあった。それまで、「自分だけの父親」だと思ってたのに、イレーヌの存在を知り「父親は自分以外にも目を向けている」という幼い嫉妬とも言えぬ感情から来た行動ではないかと思う。
少女の目を通して語られる、父親という一人の男性の生涯の一部をうまく表現されていると思う。
最後、父親は失踪してしまうのか、自殺したのか、エストレーリャは父親を探しにいくのか、とても気になる。
現代の人には退屈に思えるかもしれないが、文学を読むのと同様にゆっくりとみて欲しい作品である。
さちか

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