Uえい

エル・スールのUえいのレビュー・感想・評価

エル・スール(1982年製作の映画)
4.0
スペイン北部の寒々とした風景、街並み、そして主人公が父との思い出を回想していく語り等、雰囲気が良すぎる。

家族はスペイン北部の寒い田舎町に住んでいた。主人公エストレーリャは父とはあまり会話しなかったが、何か悩みがあることを察していた。父の生まれ故郷はスペイン南部で、何かがあって仕方なく北部に移り、結婚していたのだ。(タイトルのエル・スールは南を意味する)

父は心ここに在らずといった感じで、ペンデュラムを使うなど内向的な側面が強かった。だけど、娘への愛情もあり、南部への想いも強く、まさに振り子のように気持ちが揺れ動く様が繊細に描かれていた。

それを見る娘も、父の気持ちには気付きながらも、複雑な気持ちで触れ合う。途中、写真店に娘の写真が飾られていて、それを父が見ている姿をエストレーリャがこっそり覗くというシーンがあった。こんな感じで、正面からは向き合わないけど、確かに見つめあっているという気持ちの繋がりのようなものが感じられてすごく良かった。
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