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白昼の決闘の385のレビュー・感想・評価

白昼の決闘(1946年製作の映画)
3.8
色んな意味で忘れられない西部劇になった
伝説としてストーリーが展開していく感じも綺麗に纏まったなという印象

鉄道の建設という時代背景がしっかりある中、西部開拓の終わりを感じさせる。
ジェシーは古典的な西部の男性像から徹底的に脱しようとしている
鉄道会社に肩を持ち、これまで西部で生きるための掟であった「自分の財産は自分で守る」ということを放棄しようとし、自らの故郷テキサスに留まろうとはしない
それに対してルートはまさに西部の男。自分のものは自分で守る、そのためには決闘も惜しまないし殺しもやむ終えない
それが西部というところだったのだから

1880年ということはあと1.2年もすればアウトロージェシージェームズやビリーザキッドが殺される。そのフロンティア時代の終焉に入り混じる19c末の近代的先駆けとなる兄と、かつての西部を思い起こさせる弟という2つの性質の時代の体現

インディアンとの混血というのが大きなキーだろうけども、過去故の複雑な感情だったりをやるせ無い気持ちと共に2人の兄弟との関わり合いの中でぶつかり合いながら表現していったあのパールの表情が1つ1つ印象的

ジェシーには自分の両親が死んだときから世話になってたからそれなりの恩があるのは事実だけども、あんな自由でやんちゃなカウボーイと出会ってしまえば惹かれてしまうのもそうだよな
それでもジェシーが居なくなったとたんに急にルートに接近するのは素直すぎて笑った
徐々にルートに思いを巡らせていくけど、彼は人殺しもしてしまう。そんな奴を好きになったら自分を救ってくれたジェシーとローラにどんな顔すればいいんだ
パールの内なる葛藤がほんとに観てて苦しくなったのも事実

けども元はといえば傲慢でインディアン嫌いの父親が悪いんだよな


最後には「西部」を自らの手で終わらせるパールとルート。半インディアンでもある彼女の死(フロンティア消滅=インディアンの迫害完了)と西部の男の死。こうして西部開拓は終わりを告げ近代へと時代が変わろうとする、そんな哀しい寂しいお話
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