YUMI

名もなく貧しく美しくのYUMIのレビュー・感想・評価

名もなく貧しく美しく(1961年製作の映画)
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現在手話の勉強中なので、今の自分の力でどのくらい手話が読み取れるか試したくて、手話の出てくる映画やドラマは片っ端から観ています。
それに、手話も時代と共に表現が変わっていくらしいので、こういう古い作品に出てくる手話ってどんなものなのかな?という興味もありました。
しかし、私が現在練習している手話とは、さほど違いはなかったようで、結構読み取る事が出来て嬉しかったです。
映画作品としては、電車が通っていたり、役者さんの姿がカメラから見切れてしまっているのに、字幕だけでセリフを伝えている所が何箇所かあって、それが物足りなかったです。
ヒロインのセリフも、聾者にしては普通に喋り過ぎな感じがしました。
でも、ロクデナシの弟と刺し違える覚悟で家を出たヒロインと、追って来た夫が、電車の窓越しに交わす手話のやりとりのシーンは、公開当時は多くの人の涙を誘ったのだろうなと思います。
息子の問題は、いつの間にかイイ子になっちゃってて、アッサリと片付きすぎな気もしましたが、子供なんて結局は放っといても育つというか、勝手に成長していくもんなのかなとも思いました。
ただ、結末だけはこれはダメでしょ。
あれでは、ヒロインの事故は、せっかく会いに来てくれたアキラくんや、それを知らせに行ったお母さんが、ヒロインを慌てて帰宅させようとしたせいかも?と罪の意識を持ってしまうのでは?
そしてその事故のシーンですが、道路に転がっている草履(下駄?)やら、道に残る血痕、そしていかにも重そうな材木を満載したトラックなど、ヒロインがどんな状態で死んでいるのか、なまじ想像させるだけに、ホラー映画並みに怖かったです。モノクロで良かったわ。
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