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さくらももこワールド ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌のyujishibasakiのレビュー・感想・評価

4.7
めちゃくちゃに泣いた。

お話の良さはもちろん、挿入される大滝詠一、細野晴臣、チャンプルーDKI、近藤達郎、たま、笠置シヅ子らの音楽に寄り添う、というかもはやミュージックビデオ状態な劇中内アニメーションが豊かすぎて、ひたすらに感動。

エキゾ的意匠の溶かしてこみも見事で、ああ、そういえばさくらももこの絵の世界には、こういうドリーミーなエキゾチシズムが色濃くあったよなというのを再確認した。
しかも、おそらくそうしたエキゾチシズムの魅力は、「一人の子供が、いまここにおいて夢想する、ここではないどこか」という、ベットルームポップ的な世界観が投影されているがゆえのものだったわけだけど、この作品では、「何かを想いながら絵を描く」ということ自体が主題に据えられていることで、その魅力がより一層、二重写し的に増幅している。

しかも、さくらももこ自身が原作や脚本を務めることで、「映画を作る」という他に得難い体験の幻夢性への賛美になってすらいる。

色々な意味で、戦後民主主義の最良の到達点という感じ。
結婚を巡るおねえさんの主体性問題も、むしろ自律的な選択として描かれていると観ることもできるし、あの時代の市民的自由の感覚に照らすと、ことさらに弱点として挙げるほどのものではないよなと感じた。

大名作。気軽に観れるようになってほしい。
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