Omizu

ミニヴァー夫人のOmizuのレビュー・感想・評価

ミニヴァー夫人(1942年製作の映画)
3.9
【第15回アカデミー賞 作品賞】
『カサブランカ』と並ぶ戦意高揚映画の傑作とされる本作、主演のグリア・ガースンがアカデミー賞で主演女優賞を獲得し史上最長となる5分半ものスピーチをしたことでも記録に残る。

流れるようなプロットの上手さと演出の上手さは流石ウィリアム・ワイラーだけあり素晴らしい。文句のつけようがないシンプルながらスマートな演出。

個人的には息子のヴィンと恋に落ちるテレサ・ライトがキュートで一番魅力的だったな。従うだけの女性じゃなくてちゃんと一本芯が通っている感じが素敵だった。

企画段階では戦争前だったためドイツ人のみを悪役に描くつもりはなく、始まってしまったためそう変えたというが、変える前の名残りがある気がする。途中登場するドイツ軍のパイロットはただの悪役という映し方ではなく何かもっと描きたかったんじゃないかと思わせる。監督自身ドイツ人だったわけだし。想像だけど。

こういう作品をどう観るかは難しいけど、映画としては文句のないクオリティだと思うし、最後に死ぬのその人なの!?という驚きもありなかなか涙した。最後の教会の演説はとってつけた感があり違和感があったが、敵に立ち向かおう!というよりも戦争が及ぼす精神的、物理的な傷を描いた反戦映画のように感じた。
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